事務所開きで激励に応える(右から)石田、守田、みつなが、とがし、加藤、ひぐちの各氏(12月8日)

 来年4月の統一地方選前半戦の府議選・京都市議選告示(3月29日)まで、あと約14週。京都市左京区では、日本共産党から府議選(定数3)でみつなが敦彦府議、市議選(定数8)では、ひぐち英明、加藤あいの両市議と、とがし豊前市議が立候補を表明し、4候補の全員当選へ奮闘しています。中でも、市議選では、前回失ったとがし氏の議席奪還で、定数8(前回から9→8)のうちの3議席の獲得を目指しており、大激戦が予想されます。同市議選の様相を追いました。

「応援の枠超えて」「共に踏み出す時」

 市民と共産党の共闘を大きく前進させる新しい流れが左京区で巻き起こりました。安倍政権打倒を目指し、市民と共産党が共同で事務所を開設する、「みつなが敦彦・市民交流スペース(仮称)」合同事務所=左京区百万遍=の事務所開き(12月8日)です。

 全国的にも例のない取り組み。勢ぞろいした4候補を前に、あいさつした2人の市民運動の代表の言葉は、「応援という枠を超えた」決意でした。一人はジャーナリストの守田敏也さんで、「共産党の4人を通すために頑張りたい」と訴え。もう一人のNPO法人「市民環境研究所」代表理事・石田紀郎さんも「私も一緒に頑張る」と述べました。

 共産党と両氏とは、今春の府知事選で結成された確認団体「つなぐ京都」で、共闘してきた間柄です。石田さんは本紙の取材に対して、「共産党とは長い間、一線を画してきた。でも、安倍政権を倒すためには共に足を踏み出す時だ」と胸の内を明かしました。

 市民との共闘が左京区で大きく進んだ背景には、全国に呼応した同党左京地区委員会の粘り強い取り組みがありました。福島原発事故の「3・11」を契機とした「原発ゼロ」を求める行動や安倍政権による改憲阻止のための「3000万署名」など、さまざまな市民運動と共同してきました。昨年12月には、幅広い市民で結成された「安倍9条改憲NO! 左京市民アクション」に、事務局の一員として参加。「アクション」が毎月19日に行う、京都大学(同区)から市役所前(中京区)までの「左京みんなのデモ」には、欠かさず参加してきました。

運動通じて信頼 共産党は〝同志〟

 交流で築いた信頼関係。他の市民活動家からも統一地方選での「共闘」の声が上がります。その一人、「アクション」の事務局スタッフで、かつては「緑の党」府本部の中心メンバーだったという内富一さんはこう話します。「常に行動を共にしてくれたのは共産党。とがしさん、ひぐちさん、みつながさん、加藤さんは市民運動の同志です。僕らの仲間の選挙としてたたかいたい」

 市議選での立候補状況は、自民党が新人2氏に加え、3人目を擁立する構え。このほか、公明1、国民民主2(前回民主で当選)、京都1、維新1、無所属1のそれぞれ現職各氏、立憲民主と無所属、諸派から各新人1氏が立候補を表明。定数8を14~16氏で争うことが予想されます。各候補は連日の早朝宣伝やポスター攻勢を展開し、既に激戦は始まっています。

 一方で、「安倍政権を倒したい」との一致点で、他党支持者から支持が広がる可能性も生まれています。長年、自民党員で、府・市議選の同党候補者ポスターを自宅に張る男性は「安倍政権だけはあかん。あの強引な国会運営は何や。総裁選では(対立候補の)石破さんにいれた」と言います。「つき合いで断れなくて」京都党のポスターを自宅に張る女性は「原発容認など与党の自公と何にも変わらないでしょ。一緒に応援してきた人たちもがっかりやと言ってます」と嘆きます。

 門川市政による「もうかる観光」、「ホテル建設ラッシュ」から京都のまちを守ろう――。共産党のこの論戦と運動にも幅広い支持と共同が広がります。

 左京区南禅寺参道でのホテル建設計画に反対する住民団体の共同代表、東村美紀子さんはこう話します。「共産党のとがし豊さんは私たちにとって〝白馬の王子様〟。住民運動など無縁の私たちに寄り添い、党の人たちも署名集めなど運動を一緒にしてくれる。誠実で謙虚。共産党を見直しました」

 左京区には多くの山間地が広がり、相次ぐ自然災害で大きな被害が各地で発生しました。共産党は災害現場に真っ先に駆け付け、被災地の声をもとに支援策の拡充を実らせるとともに、「北陸新幹線延伸などの不要な大型公共工事より防災対策優先、庶民の暮らし応援の政治を」と奮闘してきました。この訴えにも、共感が広がっています。

地域振興と防災 共産党と〝一致〟

 総合建設業を営む㈱大安組=左京区=の社長、大村安司さんは、「この点では共産党と大いに一致する」と言います。倒木被害の広がる静原地域の住民も「過疎が進む一方。地域振興と防災へ、もっと頑張ってほしい」と期待を寄せます。

 このほかにも、課題は山積します。高すぎる国保料の引き下げ、全員制中学校給食の実現、子どもの医療費無料化の拡充……。前出の東村さんとともに住民運動に取り組む斎藤道子さんは、共産党への期待を身を乗り出すようにして語りました。「左京の全員当選で、市議会第1党実現は当然ですよ。開発一辺倒の市の姿勢を変えんとあかんでしょ」

(「週刊京都民報」2018年12月23日付より)