北陸新幹線敦賀―新大阪間のルート選定に向けたボーリング調査により、11月22日、京都市左京区の宝が池公園内の水道管が損傷し、市内約5000戸に断水などの被害が起こりました。住民からは「突然の断水で不安になった」「新幹線が地下深くを通っても生活は大丈夫なのか」と不安の声が上っています。

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構が地質調査のために行った掘削工事で、同公園地下の水道管(口径600㍉)を損傷し、漏水。23日午前0時から午後0時半まで左京区岩倉や、北区上賀茂地域(上賀茂・柊野学区)など約5000戸で断水や濁水を発生させました。

 同機構によると、公園側から提供された埋設図面だけを見て委託業者が掘削し、水道管を管理する市水道局側への事前連絡などは行っていなかったとしています。同機構は「原因究明した上、再発防止を徹底したい」として、ボーリング調査を継続する意向です。

■住民「『延伸』知らない」「地下工事に不安」

 自宅が断水した北区の女性(40代)は、同日午後10時頃、水道局の広報車のアナウンスで断水を知ったといい、「驚きました。20年近く住んで初めて。子ども2人を育てているので、慌てて水をためるなどしました」と話します。

 断水した北区の男性(77)は、「調査をすることも全く知らされていない。北陸新幹線延伸計画も事前に住民にしっかりと説明すべきだ」と話します。

 北陸新幹線延伸のルート調査をめぐっては、宝が池公園(左京区)のほか、鹿ノ下公園(北区)、穂根束公園(同)、地蔵本公園(左京区)で来年1月にかけて同様のボーリング調査が行われる予定です。

 また南丹市美山町の知井地区、京都市右京区京北町、京都市北区の小野郷、中川、雲ヶ畑の各学区でルート選定のための調査を実施。住民からは地下水や生活への影響に対し不安の声が上っていました。

 前述の北区の女性は、「北陸新幹線が延伸することはまったく知りませんでした。私たちの住む、(ルート調査の対象になっている)北区の地下に新幹線が通る可能性があるなんて信じられません。こうした事故や生活に影響があったら不安です」と話します。

(写真=破損した水道管から漏水する地質調査の現場〈11月22日夜、左京区・宝が池公園〉)

(「週刊京都民報」12月2日付より)