「NHK・メディアを考える京都の会」は11月25日、京都市左京区の教育文化センターで、森友問題でスクープを連発した元NHK記者の相澤冬樹氏を迎えた講演会と討論会を行い、103人が参加しました。

 相澤氏は、NHKの記者として31年間働き、今年4月に「報道局長賞」を受賞。同時に記者職から外される人事異動の内示を受け、8月末で退社。現在、大阪の地元紙で記者活動を続けています。

 相澤氏は森友学園問題の本質は、「国と大阪府の事件だ」と指摘。財政規模や教職員の経験年数などの設置要件を満たすとは思えない小学校を大阪府がルールをねじ曲げ、臨時の私学審議会で認可適当の答申を出したこと、財務省がごみ撤去費用の名目で9億円の国有地を1億円余で売却した経過に触れ、「つまり、森友学園にあの小学校を作らせるためにしたこと。なぜ、役人たちがこんなおかしなことをしたのか、解明しないと解決にはならない」と強調。引き続き取材活動を続けると表明しました。

 会場からは、NHKの報道姿勢への疑問や意見、森友問題にかかわる取材の内幕、記者活動の魅力などについて10数人が質問。相澤氏は最近のNHK報道について、厳しい水準で取材・報道をしてきた自負とともに「政府に寄り添っている報道が見られ、やりすぎだと内部にも危機感がある」と話しました。また、学校でのいじめや体罰から自死した子どもたちの取材を通じ「不幸な人を少しでもは減らしたい」思いや、好きな記者を一生やりたいとの気持ちを語りました。

 同「考える会」共同代表の中島晃弁護士と隅井孝雄氏があいさつ。「森友・加計問題をこのまま幕引きさせてはいけない」と相澤氏を激励するとともに、「真相究明を求める声を上げ続けよう」と呼び掛けました。