京都市美術館の使用料値上げ案について、市は文化に〝稼ぐ力〟を求め、企業も美術団体も一律に扱い、最大で約5割増しの値上げを提起する一方、兵庫県立のギャラリーでは、地元美術団体の公募展について使用料を半額に減免していることが分かりました。こうしたもと、京都市美術館で公募展を開く美術団体が2月19、20日の両日で、値上げ案の撤回や公募展での特別料金設定を求める陳情書を市議会に提出しました。

 市は新年度の予算編成方針で、「文化」による「都市経営の推進」を提起し、値上げ案では、本館のベース使用料を20%アップするとともに、有料展かどうか、使用する区画・期間に応じた割増規定で、1割から5割増しにするとしました。市内の学校や保育所に通う子どもの展覧会に割増規定は適用しないものの、財源に乏しい美術団体の公募展についての除外規定はありません。

 一方、兵庫県立美術館王子分館原田の森ギャラリー(神戸市)では、地元美術団体の育成を目的に、同団体が公募展を開催する場合には使用料を半額免除しています。

 陳情書を提出したのは京都美術団体連合、二紀会、関西国画会、新美などの9団体です。美団連の陳情書では、貸館料のほかに作品運送料や展示委託料、宣伝費が発生し、多くの団体が出品者からの協力金を徴収していることを紹介。値上げ案は、作家にとって「死活問題」と訴えて、再検討を要求。関西国画会は、市美術館で51回の公募展を開催し「多くの市民とともに歩んできた」ことを挙げ、公募展への配慮を求めています。

 各会派に協力要請をした美団連事務局代表の廣田政生、金丸省三の両氏は、同館での展示による団体の負担は100万円程度になる場合もあると訴え、「芸術家が安心して創作活動が行える環境整備をしてこそ、芸術都市・京都ではないのか」と話しています。

(写真=2016年、美団連の参加団体、第一美術協会が市美術館で開いた公募展