全国知事会会長をつとめる山田啓二府知事が、憲法9条改悪を狙う安倍政権の改憲スピードを早める〝アクセル役〟を果たしています。国民の多数が9条改悪に反対する中、山田知事の改憲推進発言に、安倍首相も歓迎の意を示しています。識者は「早期の『憲法9条改悪』を狙う安倍政権に対し、この時期の提起は、明文改憲の呼び水になる」と指摘しています。

■「改憲に地方自治の位置付けを」、安倍首相歓迎

 これは10月26日、東京都内で開かれた「国と地方の協議の場」で、山田知事が安倍首相に対し、「憲法改正の議論の中には地方自治の位置付けをしっかりという思いも我々にもある」と述べ、地方の位置づけを改憲の項目にするよう提起したもの。安倍首相は「自治体からそう言っていただくことは初めてのことだ」と歓迎し、改憲に意欲を見せました。

 改憲をめぐっては、安倍首相が今年5月3日に読売新聞のインタビューで、憲法9条に自衛隊を明記する改憲を行い、2020年に施行を目指すと表明。その後7月に開かれた全国知事会で、憲法92条の「地方自治の本旨」をより具体的に規定することや参院選の選挙区での「合区」解消などを盛り込んだ「真の地方自治の確立に関する決議」を採択しました。

■改憲に前のめり“最後は国民投票、議論否定しない”

 知事会後の記者会見で山田知事は、憲法改正に意欲を見せ、「早急にプロジェクトチームを立ち上げます。至急、検討を始めたい。時間的には余裕が無く、8月、9月あたりに、中間報告ができる位のスピード感がないといけない」と早急に憲法改正案をまとめることを示したうえで、「(今回の提案は)憲法論としては画期的な話になっているはずで、後で振り返ると、ここは一つのターニングポイントだったというくらい、憲法的には重みのある決議だ。早く案文を示して、各政党、政府に訴えていきたい」と強調しました。山田知事の発言通り、8月に憲法問題のワーキングチームが作られ、10月25日に作成された案では「地方自治の本旨」を明確化することなどを求めています。

 山田知事の憲法に対する態度をめぐっては、今年9月に「最終的には国民投票により国民が判断をすべきもので、憲法のあるべき姿を議論することを否定する必要はない」(府議会9月定例会)とし、全国知事会で改憲議論を検討していることを述べました。

 今年10月の知事の定例会見でも、「論点を明確にし、どこをどうしていくのかと、国会の議論を通じて明らかにしていただきたい」「全国知事会として案を作り、政府と議論をしていきたい」と述べるなど、改憲を前提にした推進姿勢を示しています。

 自民党は、年内に改憲案をまとめ、来年の通常国会への提出、発議をめざしており、山田知事・知事会の一連の動きは、改憲のスピードアップの役割を果たしています。

(写真=「国と地方の協議の場」で安倍首相〔右から3人目〕と協議する山田知事〔左から2人目〕・首相官邸ホームページより)

(「週刊京都民報」11月26日付より)