トラブル続きで、破綻した京都市のごみ焼却灰溶融施設(伏見区)について、市が工事を請け負った住友重機械工業(東京都)に約167億円の損害賠償などを求めた訴訟で、市は16日、同社が市に154億円を支払う大阪高裁の和解勧告を受け入れると発表しました。危険で無駄な施設との批判を無視し、市が契約を強行してから和解までに12年かかったもので、日本共産党市議団は20日、「市民への説明と謝罪を求める」とした談話を発表しました。

■批判無視し契約強行、市長の責任重大

 和解勧告について、住友重機も受け入れる方針で、市はこれを受け、11月定例会に関連議案を提出。12月中には和解が成立する見通しです。住友重機の支払い金額は、既に払っている工事遅延損害金23億円と合せて総額177億円となります。

 同施設は、市東部山間埋立処分地(伏見区、山科区)の「延命」目的に、ごみ焼却灰を高温で溶かして、体積を半分に圧縮するとして計画されたもの。

 日本共産党は当初から、技術的に未完成の施設で、年間運転経費だけで約20億円の巨費がかかる無駄な施設として、事業の中止を要求してきました。しかし、市は2005年に同社と工事の請負契約を締結。その後プラントではトラブルが続出しましたが、市は整備に固執。一度も正常運転ができないまま、13年になって契約をようやく解除し、同社が損害賠償を拒否したために市は提訴。京都地裁で棄却され、控訴していました(表参照)。

 談話では「施設の欠陥を認めようとせず」に、契約解除の判断を遅らせてきた「市長の責任は極めて重大」と指摘。併せて、市が今後の東部山間埋立処分地の延命策として、新たな溶融施設の整備方針を掲げていることを批判し、「撤回をすべき」としています。

(写真=破綻した京都市の焼却灰溶融施設

(「週刊京都民報」11月26日付より)