20160127-01 安倍首相が施政方針演説(22日)で安保法制(戦争法)施行に向けて「万全の準備を進める」と強弁するなか、京都市の地下鉄車内に「自衛官候補生」募集のチラシが、つり革間広告として設置されていたことが分かりました。施政方針演説のあった22日から掲示されたもので、市民や平和団体などから「門川市長は、安倍内閣の『戦争する国』づくりのお先棒を担ぐのか」「京都市がやることか」などの批判があがっています。

■市民が批判「異様な光景」「許可すべきでない」
 地下鉄の座席から75歳の男性=左京区=がいぶかしげに見上げます。「こんなところに、自衛隊の広告が並んでいるなんて、まったく異様。軍が台頭し、誰も批判できなくなったあの時代に戻ったようで怖い」
 60歳の会社員=山科区=も眉間にしわを寄せ「公共空間に自衛隊募集広告が堂々と置かれているのはおかしい。京都市は許可すべきでない」と語ります。

 つり革間広告は、つり革のバーにつり下げ、取り外して持ち帰ることが出来る形式。今回は、自衛隊京都地方協力本部(京都地連)が依頼したもので、縦19.4、幅14㌢の紙の両面に、「自衛官候補生募集中(今春採用)」のキャッチコピー、自衛官候補生の解説、採用試験日程、資料請求はがきなどがカラーで印刷され、二つ折になっています。22日から28日まで、烏丸線20編成のうちの1編成6車両すべてに掲示する計画。京都地連による地下鉄でのつり革間広告は今回が始めてです。

 京都平和委員会事務局長の片岡明さんは、「この様な広告を容認した京都市、門川市長は、戦争法施行で『戦争する国』づくりを目指す安倍内閣のお先棒を担いだ、と言わざるをえない。戦時中、自治体が市民を戦争に動員してきた。この反省のうえにつくられた日本国憲法を守る市政に変えることが求められます」と語ります。
(写真上=地下鉄車内にズラリと掲示された自衛官募集チラシ、写真下=取り外して持ち帰ることができる形式で、中面には資料請求はがきも)

■「広告の撤去を」京都総評が抗議申し入れ
 京都市営地下鉄車両内の自衛隊候補生募集広告掲載問題で、京都総評(梶川憲議長)は27日、京都市に抗議と広告の撤去などを求める申し入れ書を手渡しました。
 申し入れ書では、広告掲示が▽安保法制が成立した下で、海外での憲法違反の武力行使に積極加担するもの▽広告が個人情報を記入する返信はがき仕様となっており、自衛隊への個人情報提供を促進するもの―と抗議し、広告の撤去、個人情報提供に協力した責任の明確化などを求めています。
 申し入れには梶川憲議長、池田和弘事務局長が参加。梶川議長は「安保法制が成立し、自衛隊が海外へ派遣され、憲法違反の武力行使に参加する恐れがあるときに、市民を危険にさらすことを容認、推進するもの。市長の社会的責任を徹底的に追及する」と語っています。

20160127-02