1788年(天明8年)の火事で焼失した山鉾「布袋山」のうち焼失をまぬがれた懸装品(けそうひん)がこのほど部分補修されました。修復した川島織物の織物文化館(左京区静市市原町)で31日まで初めて展示されています。
 補修されたのは鉾巡行の際に後部に付けられていた(縦149センチ、幅262センチ)綴(つづれ)織の懸装品。17世紀初期に製作されたもので、中国の説話にもとづき桃源郷で子どもらが遊んでいる図柄があしらわれています。
 同社は、明治期に入手しましたが、破れていたり、経糸(たていと)が抜け落ちている部分があったため展示せず、収蔵庫に保管していました。今年にはいって布袋山保存会から「巡行に参加し、新たな形で鉾復興を図りたい」との意向を受けて補修に着手。破れていた箇所の裏に和紙を張って補強し展示にこぎつけました。
 川島織物・織物文化館の森克巳館長は「保存会の熱意に打たれ部分補修をさせてもらいました。今後は、経糸が抜け落ちている部分も織り直し本格的に補修したい。鉾復興の手助けになれば」と話しています。
 布袋山保存会の川島義明会長は6日、展示を見学し「補修されたものを見て、改めてすばらしいものだと実感しました。鉾復興に向けて勇気づけられた」と語っています。
 川島織物・織物文化館では、布袋山の懸装品補修展示にあわせて、7月中、祗園祭関連の特別展示を行っています。長刀鉾、月鉾、鯉山などの図案帳や、復元の資料などを展示しています。見学は無料。希望する場合は予約が要ります。
 月曜から金曜。入館は午前10時から午後3時。連絡先TEL075・741・4120。