府民の暮らしと山田京都府政の実態を検証する「府政告発シリーズ」。2006年2月から「週刊しんぶん京都民報」で7回にわたって掲載し好評を博しました。また、本紙は医療、環境、耐震偽装などさまざまなテーマで山田京都府政の問題点を告発するキャンペーンを展開しています。
 「京都民報Web」ではそれぞれのダイジェストを掲載します。より詳しくは掲載された各号をご覧ください。
(1)自治体病院
町で出産できない
 「自分のまちで子どもが産めない」「安心してかかれる市民病院をつぶさないで」。
 昨年12月、京丹後市弥栄町にある市立弥栄病院は産婦人科の分娩中止を決めました。
 分娩中止の理由は、常勤医師2人が病院を辞めるからです。
 同市内で出産ができるのは「丹後ふるさと病院」(同網野町)しかなくなり、困り果てた妊婦は岩滝町や兵庫県・豊岡市の病院に通う事態となっています。
患者の命よりも採算性
 府内各地で今、府民の命と健康を脅かす事態が進行しています。へき地医療や緊急医療を担ってきた自治体病院が医師不足や民間委託など公的責任の後退から存立が危ぶまれています。
 こういう事態を引き起こした発端は、府が強引に行った府立洛東病院の廃止でした。同病院は府のリハビリ医療の中軸を担っていましたが、山田知事は医療現場の専門職員や患者・家族から意見を聞くこともせず、経営的観点から廃止を強行しました。
 これに触発されたかのように、精華町で国保病院の民間委託が実施され、また舞鶴市民病院の突然の縮小・民営化計画が打ち出されました。
 舞鶴では、多くの市民から不安が出されましたが、府は民営化を決断した市を「英断された」(保険福祉部健康医療総括室)とまでもち上げました。
医師確保のヤル気なし
 一連の事態の原因としてあげられているのは深刻な医者不足です。では京都府はこれにどういう対策を打ってきたのか。府は04年11月に中丹以北の医師確保対策の協議会を設置しましたが、山田知事は設置後、一度も開催していません(2月末現在)。開催しても「具体案がないから、各地の深刻な状況がだされるだけ」(保健福祉部健康医療総括室)と開き直っています。
(詳細は「週刊しんぶん京都民報」06年2月5日付、同06年2月26日付)
(2)教育
 「生活が苦しく、子どもたちを育てていくのはとても不安です。安心して進学させられるようにしてほしい」(40歳代・女性)。3万を超える回答が寄せられた府民アンケートには、教育費の負担に悩む親の切実な声が多数寄せられました。
授業料の3倍の交通費
 午前7時50分、京丹波町の府立須知高校前に20数人の高校生がバスから降りたちました。京都市内から電車、バスを乗り継ぎ、2時間以上かけて通ってきた生徒たちです。
 昨春卒業したMさん(19)も3年間、京都市左京区の自宅から市バス、JR、バスを乗り継いで通いました。年間交通費は約36万円(定期代)。府の通学補助制度を利用し約30万円近くに減額されたとはいえ、授業料(11万5200円)の約3倍もかかりました。
 府の通学費補助制度は、1カ月の定期代が2万2100円を超えた場合、半額分を支給するというもので、Mさんは「遠距離と高額な交通費で、中退する同級生がいた。通学費の半額でも補助があればよかったのに」と振り返ります。
不況で授業料減免急増
 不況による所得減少などから、府内でも公立高校の授業料減免を受ける世帯が急増しています。小中学生のいる世帯では学用品費や給食費などを補助する就学援助の利用が増えています。
 負担を軽減し、すべての子どもに教育保障する施策がもとめられています。(詳細は「週刊しんぶん京都民報」06年2月12日付) 
(3)雇用
知事「ミスマッチ」発言 若者大ブーイング
 労働分野の規制緩和が進められ、非正規雇用が増大しています。とりわけ若い世代に矛盾が集中していますが、これを山田知事は「雇用のミスマッチ」と言い放ちました。若者が職に就けないのは、若者の職業意識にあるというのです。小泉首相と同主張に若者からブーイングがおこりました。
 「知事は実態がわかっていない」
 府内のハローワーク前。山田知事発言に怒りの声が相次ぎます。
 山科区の男性(35)は「まったく他人事!『ミスマッチ』って仕事を探す気がないっていう意味でしょう。仕事が見つからないのはオレらのせいじゃない」「大企業だってウソばかりついている。正規と聞いて就職したら派遣だたり、正規で就職してもすぐリストラされたり、問題なのはまともな仕事をさせない大企業の方や」
 定時制高校生(19)は「正社員を探している。けっしてハードルの高い仕事を求めているわけではないのに、『ミスマッチ』と言われても…」と怒ります。
(詳細は「週刊しんぶん京都民報」06年2月19日付)
(4)子どもの医療費助成
27自治体で独自施策
 「なぜ同じ京都に住んでいてこんなに地域格差があるの? 子どもの命の重さは同じはずなのに…」。住む町で、就学前の子どもの医療費助成に格差があることに子育て世代から疑問の声があがっています。
 格差がおこるのは、京都府の制度を基準に市町村が独自に助成制度を実施しているからです。現在27市町村(06年度予算案計上を含む)が実施しています。しかし、最大の人口を抱える京都市と綾部、舞鶴両市は府の制度と同水準です。
 府の助成制度は通院の場合、2歳までは月200円を医療機関に支払い、3歳から就学前までは、いったん治療費の全額を医療機関に支払い、月8000円を超えた分は払い戻しが受けられるというものです。
 しかし月8000円を超える例は全体の1%にも満たず、また払い戻しを受けるには市町村窓口に申請しなけらばならないわずらわしさがあり、利用者は少ないのが実情です。
 「事実上、3歳以上は有料」という声が多く制度の拡充を望む要望があがっています。しかし山田知事は一貫して拒否しています。
(詳細は「週刊しんぶん京都民報」06年2月26日付)
 *各市町村の子どもの医療費助成制度一覧は、当Webサイト『ベビーキッズみんぽう』内の「子どもにかかわる医療費Q&A」をご覧ください。
(5)福祉の放棄
負担増は当然
 病院にかかれず重症化、負担増で施設利用中止、保護費切り下げ…「小泉構造改革」による社会保障の連続改悪が強行され、府民を苦しめています。こうした中、山田知事は「給付と負担のバランスを考えるべき」(05年12月府議会)と負担は「当然」とする姿勢を貫いています。
介護保険料減免拒否
 06年度は3年ごとの介護保険料見直しの時期にあたります。4月から大幅値上げを予定する自治体が相次いでいます。
 昨年12月の府議会。日本共産党が府独自の介護保険利用料減免制度の創設を求めたことに、山田知事は「反対、反対といっても解決にならない」と言い放ち拒否しました。
 同知事は市町村が独自に行う減免措置についても「都道府県というのは別に市町村の援助団体ではない」と突き放しています。
 こういう山田知事の姿勢に、市町村からは「少しでも負担が抑えられるようもっと府は上(国)とたたかってほしい」「(府は)財政的にも人的にも(市町村を)支えるのが当然ではないのか」という声がでています。
(詳細は「週刊しんぶん京都民報」06年3月5日付)
(6)憲法改悪
 自民、民主が「日本を海外で戦争できる国」に変えるために九条改憲策動を強めています。その両党に推薦されて立候補するのが山田知事です。九条改憲については世論調査で6割が「反対」、また「民主府政の会」が実施し3万を超える回答が寄せられた府民アンケートでも、55%が「憲法九条の改正は不要」と答えています。知事選では憲法にたいする知事の態度が問われます。
 山田知事はこの4年間、府議会で繰り返し憲法九条に対する姿勢を問われてきました。しかし、いっかんして「九条を守る」と明言しませんでした。逆に「憲法改正議論は大いにすべき」という発言を繰り返してきました。
憲法よりも安保優先
 こうした知事のもとで、今、京都の自衛隊は着々と海外でたたかえるよう強化されています。
 陸上自衛隊福知山駐屯地(福知山市)では、イラクなど中東地域での戦闘を想定した「市街地訓練施設」が作られ、米海兵隊訓練を参考にした訓練が行われています。
 舞鶴市の海上自衛隊舞鶴基地は、日本海で唯一イージス艦「みょうこう」が配備され、日米ミサイル防衛計画に深く組み込まれています。
 昨年2月、同基地に日本海で常時作戦行動を展開している米海軍のイージス艦「フィッツジェラルド」(横須賀に配備)が初入港しました。同艦は港湾管理者である知事に入港届けを提出せず、わがもの顔で停泊し続けました。
 これに府の対応は「日米安保・地位協定が優先される」と容認。山田知事は「米国管理の船舶が日本の港に入る場合には、日米地位協定上、通告により入港できる」とのべ、憲法よりも安保を優先する姿勢に終始しました。
(詳細は「週刊しんぶん京都民報」06年3月12日付)