京都市・デジタル地域ポイント マイナカード持っていない人は対象外、市「給付想定は50%」強弁/補正予算案で物価高対策、共産党は再検討要求「市民を差別することは許されない」
マイナカード非保持者は約35万人、スマホアプリでのひも付けも必要
京都市は12月24日開会の12月特別議会に、物価高対策として全市民を対象に1人5000円のデジタル地域ポイントを給付するなど、109億円を追加する本年度一般会計補正予算案を提案しました。ところが、デジタル地域ポイントは、マイナンバーカードをスマートフォンにひも付けて受け取る仕組みが想定され、市民全体のうちマイナカードを持っていない25%、約35万人が給付から外されることが判明。さらに市は「全市民を対象にする必要はない」などと議会で答弁し、問題点が一層浮き彫りとなっています。日本共産党は「市民を差別することは認められない。再検討すべき」と要求しました。
補正予算案は、国の重点支援地方交付金を活用したもので、①市内の店舗で食料品や日用品を購入する際に使えるデジタル地域ポイントの給付②全国一律で支給される子ども1人につき現金2万円に市独自で5000円の上乗せ③住民税非課税世帯に5000円の現金給付―する内容です。
この中で問題となっているのが必要経費45.1億円(給付費35.8億円、事務費9.3億円)のデジタル地域ポイントの給付。
同予算案を審議した24日の予算特別委員会で、市は、給付対象となるマイナカードを所有する市民は74.9%(11月末時点)で、残る約25%、約35万人が対象外となるだけでなく、市が給付を想定しているのは「市民の50%」に過ぎないと説明。また、松井市長が22日に補正予算案の内容を記者発表して以降、わずか2日間で59件の問い合わせが市民から寄せられていることを明らかにしました。
質疑をした共産党議員は、加藤あい、江本佳世子、玉本なるみ、冨樫豊の4氏。
対象外の市民への対策は検討もなし
加藤、江本両議員は行財政局に対し、マイナカードやスマホを持っていない市民への給付、対策をどう考えているのかと追及。市は「制度上は一律に全市民を対象にしなければならないものではない。限られた財源の中で、より効果的に提案をしている」と居直り、対象外となる市民への対策は検討さえしていないことが判明しました。
両議員は「これ自体が問題だ。そもそも今回の補正予算案には全世帯対象の物価対策がない」と批判。その上で、共産党が9日に市に要求した水道料金の減免、来年度から実施の小学校給食費の無償化の前倒しなどを挙げ、「総額109億円の予算規模で、もっと描ける世界があったはずだ」と述べ、マイナカードを活用したデジタル地域ポイントの給付見直しを要求しました。
玉本、冨樫両議員は文化市民局に対して追及。「市民の50%」しか給付が想定されていないことについて、「あまりにもひどい。市民を差別していることになるという自覚があるのか」とただしました。また、給付の実施が「早くても夏の終わりごろになる」と説明したことに、「市民は今、困っている。遅すぎる」と指摘しました。
併せて、松井市長が記者会見で「これを機にマイナカードの普及率を上げたい」と説明したことに、「マイナカードの取得は任意だ。ポイントがほしいならマイナカードの取得をしてくださいなど、あってはならならい」と強調。「まだやり直せる段階だ。物価高に苦しむすべての市民応援を第一にすべき」と要求しました。
12月特別議会は26日まで。




