「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」
「平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本」
「石垣島の平和と自然を守る市民連絡会」の藤井氏
「ピースリンク・広島・呉・岩国」の新田氏

 10月19日に精華町で開催された「祝園全国集会」では、敵基地攻撃能力保有に伴う長射程ミサイルの配備やミサイル保管のための弾薬庫建設など、政府が全国で急速に進めている戦争準備の実態が各地の報告から明らかにされるとともに、各地の運動が連帯することで、軍拡を食い止める力になることなどが語られました。

日本を守るためではない

 沖縄県石垣市の「石垣島の平和と自然を守る市民連絡会」の藤井幸子氏は、「(中国に対する)抑止力になる」と、石垣島、与那国島、宮古島にミサイル基地建設・強化、部隊配置が進められてきたと指摘。

 石垣島だけでも今年に入って、港湾に米艦船や自衛隊艦船が12回寄港し、民間空港を米軍が3回、自衛隊が2回使用したとし、これらは「住民や日本を守るためのものではなく、米国による対中国の覇権戦争のための準備だ」と批判。「石垣、沖縄だけでなく、祝園の弾薬庫建設も止めたい。この国を戦争する国にしてはならない」と訴えました。

 9棟の弾薬庫新設が計画され、着工された2棟のうち1棟の完成が12月中旬に迫る陸自・大分分屯地(敷戸弾薬庫)がある大分県大分市の「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」の池田年宏氏が報告。

祝園弾薬庫とは“双子”

 着工が強行された祝園弾薬庫と敷戸弾薬庫は「双子だと思っている」と発言。戦時中、日本軍はアジアの人々2000万人~3000万人を殺害し、熊本県や大分県出身者らで構成する陸軍第6師団と京都の第16師団はともに南京大虐殺を行ったとし、「(他国の人々を殺害する)戦争を止めなければいけない。戦争のためのミサイルや弾薬庫などいらない」と訴えました。

 熊本市の「平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本」の海北由希子氏は、防衛省九州防衛局が8月、長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」を国内で最初に同市の陸自・健軍駐屯地に配備する予定であることを熊本県、熊本市に報告したものの、住民への説明が行われていないと批判。

 県も熊本市も配備に反対していないもとで、「(配備を止めるために)市民が運動して、後から政治家がついてくるぐらいにしないとこの国は変わらない」と述べました。

最前線・南西諸島への輸送部隊発足

 広島、山口両県の住民による「ピースリンク・広島・呉・岩国」の新田秀樹氏は、広島県呉市の海自・呉基地に今年、南西諸島への輸送を任務とする「自衛隊海上輸送群」(陸海空自衛隊の共同部隊)が発足され、港湾設備のない海岸に揚陸可能な輸送艦が配備されたと報告。同基地には、空母化された護衛艦「かが」が配備されていることも指摘しました。

 さらに、同市の日本製鉄跡地(約130㌶)を防衛省が(防衛拠点整備のために)購入しようとしていることも批判し、「全国の人々とつながり、軍拡を止めよう」などと訴えました。

 自衛隊海上輸送群の一部が移設される予定の陸自・阪神基地がある神戸市からは、「神戸港軍事使用を許さない9・28市民集会実行委員会」の中村伸夫氏が報告。「台湾有事」に、長射程ミサイルが祝園の弾薬庫から南西諸島に輸送される際、阪神基地が、呉基地ととともに移送拠点になると指摘しました。

「ミサイルいらない」連帯して

 愛知県の「不戦へのネットワーク・愛知」の山本みはぎ氏は、同県小牧市の三菱重工小牧北工場で、長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」などの製造が行われていることなどを説明。「ミサイルはいらない。みなさんと連帯して運動を進めていきたい」と訴えました。

 静岡県の竹内康人氏は、陸自・富士駐屯地(同県小山町)に今年度末までに、島しょ防衛用の高速滑空弾、2年後に、「12式地対艦誘導弾能力向上型」が配備される予定であることを報告。

 神奈川県の「すべての基地にNO!を ファイト神奈川」の木元茂夫氏は、横須賀の米軍浦郷弾薬庫で(米艦船への弾薬の積み下ろし作業円滑化に向け)桟橋整備が進んでいることを報告し、自衛隊との共同使用の可能性があることへの懸念を述べました。