JA京都本店が営業を続けている元農村田園コミュニティーセンター(南丹市八木町)

市とJA側が「制限緩和」で合法化目指す方針

共産党「制限緩和は違法追認、まずJA退去を」

 南丹市八木町にある京都農業協同組合(JA京都)の本店が今年2月から、都市計画法上の許可を得ずに市街化調整区域内で営業しており、違法状態が続いています。同市は、本店が入居する施設の敷地について、新たな地区計画の設定によって制限を緩和し、違法状態を解消しようとしています。日本共産党市議団は、「違法状態を追認する逆立ちした方法だ。まずは、JA京都に退去してもらい違法状態を即座に解消すべき」と訴えています。

府知事の許可ないまま営業

 JA京都本店は今年2月3日、亀岡市から南丹市八木町氷所にある同市の元「農村田園文化コミュニティーセンター」に移転。同センターは1月からJA京都が同市から借りています。同センターは市街化調整区域内にあり、建築・開発行為が厳しく制限されており、事務所として用いるためには都市計画法にもとづく申請を府に行い、府知事の許可が必要です。しかし、2月から許可がないまま営業を続けています。

 同市は、同センターをJAに貸すため、同センターを廃止。廃止に伴って、建設時に農業振興を名目に交付された国と府の補助金の一部、2921万円を府に返還しました。

 今年3月の市議会3月定例会で日本共産党などが、違法状態でないかと追及したのに対し、西村良平市長は「操業に向けた準備中」であるため問題はないという認識を示しました。

 府は4月30日に現地調査を実施し、実際に営業していることを確認。その場で、JA京都に対して違法状態を解消するよう口頭で指導しました。その後も継続的に、使用中止と是正方針を示すよう要求してきました。

 同市とJA京都は9月8日、是正計画書を府に提出。本店の敷地4000平米に新たな地区計画を設定した上で、府の許可を目指すとしています。新たな地区計画案の縦覧は15日までで終えており、今後、同市都市計画審議会に諮られることになります。

 JA京都の中川泰宏会長は旧八木町出身で、八木町長や自民党衆院議員(1期)も務めました。南丹市の西村市長は農協政治連盟の推薦と支援を受けて2018年に初当選し、現在2期目です。

 日本共産党の南丹市議団(小林毅団長、2人)はこの間、違法状態がまかり通ることがあってはならない、とJA京都の退去を要求してきました。8月29日には府知事に対し、JA退去による違法状態の解消を求めて申し入れを行いました。

JA京都を優遇「市政に対する市民の信頼失う」

 同市議団が6、7月に実施した市政アンケート(371人回答)では、違法営業が続いている現状や市による補助金の返還について、56・5%が「問題がある」と回答。「問題がない」は5・6%でした。住民からは「2900万円はJA京都が負担すべき」「問題あり。許可が出るまで使用してはならない。もっと問題にすべき」などの声が寄せられています。

 小林団長は、「本店移転から既に8カ月も違法状態が続いている。JA京都は退去し、一刻も早く違法状態を解消すべきだ。JA京都の利益を優先する現市政の姿があらわになっており、市政に対する市民の信頼を著しく損なう事態だ」と話しています。