性差意識がつくった女性の低賃金 ジャーナリスト・竹信三恵子さん講演/働き方見直す京都集会

「STOP THE 働きすぎ! 第20回働き方を見直す京都集会」が9月28日、京都市中京区のラボール京都で開かれ、ジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さんが、「政府・財界の描く働き方・働かせ方の将来像を斬る~ジェンダー視点からの考察」と題して講演しました。京都総評や働くものの健康を守る京都センターなどでつくる実行委員会が主催し、63人が参加しました。
あいさつで実行委員長の梶川憲京都総評議長は、終身雇用や年功賃金などの解体を狙った日経連の提言「新時代の『日本的経営』」の採択から今年で30年が経ち、賃金の停滞や日本経済の疲弊、人手不足の蔓延など深刻な事態にあると指摘。労働のルールも破壊し、この道を進めようとする財界、政府の姿勢を批判。「ジェンダーの視点で問題点を学び、考える場にしたい」と討論を呼びかけました。
講師の竹信さんは、働き方の転換点となったのが労働者派遣法(1985年成立)だと述べ、「男性世帯主」の扶養を前提に「女性は家計補助」という性別役割分業意識のもとで同法がつくられたことを指摘し、この意識が改善されないまま雇用の非正規化の拡大など労働政策の変化、格差と貧困が社会問題化してきた経過を紹介しました。
安倍政権が経済成長戦略の一環に掲げた「女性活躍政策」は普及せず、コロナ禍で職を失った非正規労働者(多くは女性)への公的支援も打たない政府の対応などを、「企業中心の政策で、女性が安心して働ける状況にない」と指摘。経済界が人手不足を理由に要求している長時間労働を、健康を害して働ける人が減れば悪循環になると批判し、「女性が働きやすい状況は男性も働きやすい。この原点から労働基準を再構築することが重要」と話しました。
基調報告を行った柳生剛志・同実行委員会事務局長は、当面するたたかいとして、▽最賃闘争の強化・前進▽長時間・過密労働の改善、ハラスメントの一掃▽男女間の賃金格差解消─など6点を示し、「万国の労働者よ団結せよの精神で労働運動をつくっていこう」と呼びかけました。
参加者は講演の後、グループ討論で意見交流しました。