京都駅ビル(左)のすぐ側に建つ京都中央郵便局(ドローン撮影:松本博)

 京都駅前の京都中央郵便局(京都市下京区)を高さ60㍍のホテル・商業施設などの超高層複合ビルに建て替える計画を巡り、京都弁護士会は11月4日、都市再生特別措置法を適用して高さ60㍍の建築物を認めることに反対する意見書を松井孝治市長、金子恭之国土交通相などに宛てて提出しました。

 同郵便局一帯の建築物の高さは、市の新景観政策で高度地区規制の最高限度31㍍となっています。ただ、国の都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域に指定されており、今後、市の都市計画審議会などを経て都市再生特別地区となれば、規制緩和は可能となります。

 意見書では、高さ60㍍が認められれば規制の最高限度の約2倍に達することになり、新景観条例制定以降、これまでに行われたてきた規制緩和と「明らかに次元を異にする」と強調しました。

 その上で、そもそも新景観政策は、高さ31㍍を上回る建築物を許容することは想定されていないと指摘。建て替え計画は、新景観政策を脱法する手段として都市再生特別措置法を使い、新景観政策の根本である高さ規制の意義をほとんど無意味にしてしまうことになると述べています。

 この他、▽都市計画の見直しを検討する際は、都市計画、建築などの各分野の専門家やまちづくりにかかわる住民らで構成する審議会を設置、答申を求める▽同答申を踏まえ、複数案を提示したパブリックコメントや公聴会の開催で、市民の意見を聴取する▽今回の建て替え計画では、高さ規制の範囲内での建て替え案を含めた複数案の提示、各環境影響の比較検討を実施する―ことなどを求めています。