“私たちは使い捨てじゃない”京都府庁で働く会計年度任用職員有志が「3年公募」廃止求め3万人署名/9月29日、30日にキックオフ集会開催

京都府庁には、行政サービスの一翼を担う非正規の公務員、会計年度任用職員が約1600人働いています。その存在無しには行政サービスは成り立たないのに、雇用に限りがあり、来年2月には3年に一度の一斉公募が実施され、事実上の「雇い止め」が行われようとしています。京都府職員労働組合(府職労)に加入する当事者有志は他の自治体の当事者と協力してキャンペーンチームを結成し、「3年ごとの公募廃止」を求めて3万人署名をスタートさせます。廃止を勝ち取って働き続けられる職場を実現したいと意気軒高です。
「雇い止め」におびえながら
「どうして、3年ごとの雇い止めにおびえながら働かなきゃいけないの」「私たちは使い捨てじゃない」
こう訴えるのは、嘱託職員を経て、現在、会計年度任用職員の藤田佳子さん=仮名=です。50代で、府庁で14年間、非正規公務員として働いてきたベテランです。府庁の同職員仲間と他の自治体の当事者らで「STOP雇止め!『3年公募』廃止キャンペーンチーム」を発足。京都府職労と一緒に「3年公募」廃止署名に取り組みます。
会計年度任用職員制度ができたのは2020年。正規職員が削減される一方、一般事務の他、保健師、看護師、児童虐待対応協力員、生活困窮相談員、消費生活相談員など、さまざまな職種が会計年度任用職員に置き換えられてきました。
任期は1年で、更新は2回まで(3年間)とする自治体が多く、大量の「雇い止め」となるケースが全国各地で生じ、社会問題となってきました。
改善を求める自治労連や当事者の粘り強い運動と世論が実り、総務省は24年6月、「会計年度任用職員マニュアル」から再任用の回数制限に関する記述を削除しました。
今では実施の根拠がなくなった「3年公募」。自治労連が今年5~6月に行った調査によると、公募要件がもともとなかった自治体と廃止した自治体の合計は約6割に達しました。
京都府は来年2月に「公募」実施予定
ところが、府は「採用の公平性の維持」を理由に、来年2月には「3年公募」を実施予定です。府庁では、正規職員約4400人に対し、会計年度任用職員は約1600人(23年)。職員全体の約3割を占めるまでになっているにもかかわらず、改めて履歴書の提出や論文が課せられ、面接が行われます。

これまでの実績全て否定されるようで
職なくしたら…不安・ストレスで肌ボロボロになった人も
前出の藤田さんは、子育てをしながら働き、生計を担ってきました。毎年の更新、3年ごとの公募のたびに「職をなくしたら子どもたちはどうなるのか」と不安を募らせてきました。少しでも任用に有利になればと、仕事が終わった後に2年間、養成校に通い資格を取りました。
仲間の職員からこんな声を聞きました。「自分の席は4月以降あるの?」「任用がダメとなっても、今さらこの年で新たな就職口が見つかるとは思えない」「前回の公募の時はストレスで白髪が増え、肌がボロボロになってしまった」…。
藤田さんは「これまでの実績をすべて否定されるようで、このことが一番悔しい」と言います。
「ゆにきゃん」がチーム結成の契機に
キャンペーンチーム結成の契機は、全労連が7月に開いた「ゆにきゃん」への参加でした。「ゆにきゃん」は、当事者や仲間の力でどのように変化を起こすのか、その手法を学び、足を踏み出すためのワークショップです。藤田さん、同じ会計年度任用職員の土田真理さん=仮名=、府内の自治体の同職員の3人に、府職労副委員長の高橋幸信さんなども加わり、同職員が安心して働ける平等な社会を実現するために何が求められているのかを話し合いました。
土田さんも50代で、府庁で10年間、非正規で働いてきました。「収入のこともあるけれど、何よりも働き続けたい」との思いを持っての参加でした。
日頃の悩みや困っていることなどを出し合い、「この人たちと一緒なら頑張れるかな。背中を押されました」と土田さん、藤田さんは言います。
キャンペーンチームのメンバーは、「ゆにきゃん」に参加した当事者5人と応援する高橋さんら5人の計10人。府職労と共同で、29、30の両日、オンラインでキックオフ集会を開催します。
会計年度任用職員は全国で66・1万人、京都府内で1万1530人(総務省24年度調査)。京都自治労連によると、総務省の方針を受けて、府内でも大半の自治体が「一斉公募」の方針を見直しています。
高橋さんは「一人ひとりの力は小さいけれど、決して無力ではない。府を突破口に、公募要件を持つ全国の自治体にも波及させたい」と言います。
3万人達成で道を切り開く
藤田さんは「目標は大きい方がいいでしょ。10万人署名でどうか、そんな案もあったくらいです。3万人目標をぜひ達成して、民間も含めた非正規雇用の人たちの処遇改善へ、新たな道を切り開きたい」と意気込みます。土田さんは「誰もが安心して働き続けられる職場にしたいし、民間での無期転換を公務でも適用してほしい。力を貸してください」と訴えました。
キャンペーンチームと府職労は、署名の協力を呼びかけています。
オンライン署名→STOP雇止め!京都府の「3年公募」を廃止してください。私たち会計年度任用職員を「使い捨てできる存在」にしないでください!