オープニングを飾った西宇治中学吹奏楽部

 宇治市のウトロ平和祈念館の開館3周年を記念した「未来のためのフェスティバル」が4月29日、同祈念館前広場で行われました。

 同館の金秀煥(キムスファン)副館長が司会。祈念館の東隣りにある西宇治中学吹奏楽部が荘厳な行進曲「アルセナール」などでオープニングを飾りました。

 西宇治中学校では、祈念館開館後、毎年3年生全員が研修を受けることになり、研修を受けた生徒が作成した「平和と共生」と書かれたバナー(写真下)が、祈念館の建物の3階に掲げられました。

 地元の城南菱創高校フォークソング部や城陽高校書道部、立命館宇治高校チアリーダー部が日頃の成果を披露。城南菱創高校3年生の生徒は、「祈念館を訪れて、ウトロの歴史を知れたのはうれしかった」と語り、ジョン・レノンの「イマジン」を演奏。

 宇治市出身で世界的に活躍する在日コリアンのラッパーTAMAI KOSUKEさんが自作曲を披露しました。

 京都市内から、京都国際中学・高校ダンス部と京都朝鮮中高級学校吹奏楽部が駆け付けたほか、祈念館のボランティアによるオカリナグループ「ルアナウトロ」、ウトロ地区の立ち退き反対の運動の中で結成された「ウトロ農楽隊」も演奏。広島のアコーディオン奏者・金秀光さんも駆け付け、会場を沸かせました。夕方から、参加者による焼肉交流会が行われました。

 本紙の取材に対して、TAMAI KOSUKEさんは、「世界的に他国を排除する動きが強まる中で、(国籍を超えて)集える場所があるのは貴重。在日のぼくがここでライブさせてもらえたのは意義がある」と語りました。

 同館館長の勝村誠氏は、「祈念館がオープンし、この地が東アジアの歴史を学び、交流の拠点として前向きに評価されるようになってきているのはありがたい」と述べました。

会場を沸かせたラッパーのTAMAI KOSUKEさん