京都市長選が告示(1月21日)されました。この間、京都新聞での紙上討論(昨年12月15日)や京都青年会議所(1月15日)、KBS京都(19日)による候補者討論会が行われる中、「悪政を競い合うオール与党の3陣営」対、暮らしを全力で応援する「つなぐ京都2024」の福山和人候補(62)=無所属・新=との一騎打ちの構図が一層、鮮明となっています。

 大争点として浮上しているのが「政治とカネ」の問題です。

 福山氏は「政治とカネの問題にきっぱりとした態度をとることは、選挙に出る前の入場切符くらい基本的なこと」と主張。他候補にこの問題での対応を明確にするよう繰り返し、迫ってきました。

 これに対し、松井孝治(63)=自民・公明・立民・国民推薦=、元京都市議の村山祥栄(45)の両氏は、京都新聞、京都青年会議所、KBSのいずれの討論会でも見解を示しませんでした。

 しかし、自民党京都府連には「マネーロンダリング」疑惑があり、自民党から推薦を受ける松井氏には説明が求められています。ところが、松井氏は見解を示さないばかりか、「私は自民党公認候補ではない」と苦しい言い訳を始めています。

 村山氏に至っては、政治資金パーティーをめぐって、昨年12月から今年にかけて9回の政治資金パーティーを企画し、うち8回はパーティー券を売りながら参加者がいなかったことが発覚。維新、教育無償化を実現する会、国民府連、京都党が相次いで推薦を取り消す事態となりました。そもそも立候補の資格自身が問われています。

 元自民府議の二之湯真士候補は「(パーティー券の)ノルマを超えた分のキックバックは裏金と違う」と述べ、問題なしとの態度を示しています。しかし、政治資金パーティーでの収入は、飲食などの「対価」があることが前提で、キックバックとなれば、自分のもうけになります。

 各候補者の言動を見るなら、福山氏だけが、金権腐敗政治を終わらせる力になることは明らかです。

 二つ目は、暮らしやまちづくりの問題です。

 福山氏は、門川市長の「行財政改革」計画について、撤回を明言。同計画で行われた民間保育園の補助金カット、学童保育の値上げを元に戻すことや、具体的財源(市予算の約1%)を示して子育て支援・教育の無償化を訴えてきました。

 一方、他の3候補はどの討論会でも、同計画の見直しや保育園の補助金カットなどを元に戻すとは述べませんでした。それどころか、松井氏らは「財源は」と福山氏に繰り返し質問し、実現できないとの印象付けをしようと躍起に。これに対し、福山氏は、新しい財源確保策などを具体的に示すとともに、「優先順位の問題」「やる気が問われている」と力説しました。

 また、松井氏は、KBSの討論会で、橋本龍太郎内閣時代の「行革」に携わったことを自慢げに披露しました。福山氏から「『行財政改革』を継承するのか、補助金を元に戻すのか」と聞かれても、「私は門川市政の継承候補ではない」などと言い逃れに終始。さらには、「何でも税金で、公助でということでは財政が持たない」などと開き直りました。

 膨大な地元負担など、問題が山積する北陸新幹線延伸計画(敦賀─新大阪間)については、福山氏は「現行ルートに反対。抜本的な見直しを求める」と明確に主張。KBSの討論会では、松井候補に対し「自民党の西田昌司府連会長は推進の立場。その推薦を受けて、反対と言えるのか」と迫りました。

 松井候補は「私は西田さんの推薦をいただいているわけではない」と釈明。「第2国土軸の必要性は認める」と言いながら、「賛否は、今の段階では慎重に検討せざるを得ない」と防戦に終止しました。

 村山氏は「環境アセスが終わっていない状態で結論は出せない」と態度を明らかにしませんでした。

 二之湯氏は「現行の小浜─京都ルートには反対」としました。

 全員制中学校給食の実施をめぐっては、センター方式に反対し、「自校方式もしくは親子方式で実施」すると述べているのは福山氏だけです。

 京都新聞の紙上討論会で、松井氏はセンター方式を肯定。村山氏は「2年以内にやる」ためには「弁当方式」で実施し、「自校方式かセンター方式か、民間委託か、ゼロベースで見直す」としました。二之湯氏は「センターの複数分散、自校、親子方式なども検討が必要」とし、センター方式を否定していません。

 規制緩和・まちづくりの問題では、福山氏は「新景観政策の見直しについては、ゼロベースで再検討を行い、規制緩和について慎重に検証し、市民の暮らしと景観を守る」と主張しています。

 一方、松井氏は「新景観政策を見直す」とし、「京都駅周辺など交通の利便性が高い用地を戦略的に開発する」と述べました。村山氏は「周辺部の開発を進めて企業誘致を徹底的にやる」と主張。二之湯氏も「府市一体で基盤整備を進めていく」と述べました。