「特別注視区域」の指定候補となった京丹後市の米軍レーダー基地(経ケ岬通信所)

 政府が米軍・経ケ岬通信所(京丹後市)を土地利用規制法に基づく「特別注視区域」の指定候補とした問題をめぐり、同通信所周辺の住民や京丹後市民らでつくる住民団体2団体が1月9日、中山泰市長に対し、同通信所の周辺住民の監視活動を行わないことを国に求めることなどを緊急要望しました。

 2団体は、「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」と「米軍基地反対丹後連絡会」です。緊急要望では、同区域の指定により基地周辺の2集落が区域内に入ると指摘。指定候補となった場合に、市長は「皆さんの声を聞き、国に対しても言うべきことは言っていく」と議会で表明してきたことを示し、「市長には従来の言葉どおりのことを実行していただきたい」と強調しています。

 その上で、▽地元2地区や宇川地域全体の住民の声を聞き、国へ伝える▽指定による行動制限や監視活動を行わないこと▽指定に伴い京丹後市が政府に提供する住民の情報とはどのようなものか▽住民説明会の開催—など7項目を国に求めるよう要望しています。

共産党議員団が知事、市長に緊急要望

 また、日本共産党府議団(島田敬子団長、9人)と同党京丹後市議団(田中邦生団長、3人)は1月15日、西脇知事や中山市長に対し、同通信所の周辺住民の監視活動を行わないことや同法の廃止などを国に求めることなどを緊急に申し入れました。

 府への申し入れは、関係市町の同党11議員団、衆院京都4・5・6区の各国政委員長の連名で行いました。

 申し入れでは、区域指定の内容やその影響が住民に周知されていないとともに、指定に伴う住民監視や運動の弾圧への不安を抱えている住民もいるもと、強行することは許されないと批判しています。また、同法そのものが思想良心の自由や表現の自由、プライバシーを侵害する憲法違反の法律だと指摘しています。

 その上で、▽住民への情報開示と丁寧な意見聴取の実施▽指定による行動制限や監視活動を行わないこと▽自治体が保有する個人情報の提供を行わない▽区域指定への反対、同法廃止を国に求める—などを要望しています。

 昨年12月に政府の審議会が示した府内の「特別注視区域」には米軍・経ケ岬通信所と海自・舞鶴基地の一部、「注視区域」は舞鶴を含む全自衛隊基地(8市町に所在)です。1月末までに自治体からの意見聴取を行い、2月以降に正式に指定する見込となっています。