福知山鉄道館の企画展示

 1920年代から約半世紀、宮津へつなぐ構想のもと福知山─旧大江町間を走った「北丹鉄道」。9月22日に開業100年を迎えたことを記念して、福知山市内の2会場で企画展が開催されており、訪れた市民らが当時を懐かしんでいます。

 北丹鉄道は1923年に福知山駅─河守駅(同市大江町河守)間で開業した全長12・4キロの私鉄。「マッチ箱」と形容される小さな客車、気動車が由良川沿いをのんびり走り、住民の足として利用されました。河守鉱山で産出された鉱石や由良川で採取された砂利の輸送も担いました。

 慢性的な資金不足や由良川の水害による設備の損傷に悩まされつつ運行しましたが、自動車の普及と沿線の過疎化、鉱山の閉山に伴う貨物輸送の減少によって経営が悪化し、71年に営業を休止。そのまま廃線となりました。

北丹鉄道「福知山西駅」跡地の西駅公園に展示ある機関車(レプリカ)

 企画展「北丹鉄道の記憶」を開催している福知山鉄道館フクレル(8月26日開館)では、駅名標や時刻表、路線図、制帽など、北丹鉄道で実際に使われていた備品のほか、沿線で撮影された写真など約40点の資料が展示されています。

 福知山市立図書館大江分館でも企画展が催され、北丹鉄道の関連図書のほか、廃止された北丹鉄道に代わって福知山と宮津を結んだ宮福鉄道(現・京都丹後鉄道宮福線)に関する書籍も紹介。職員が手作りした河守駅駅舎のペーパークラフトも展示されています。

 かつて北丹鉄道を利用していたという80代の男性=同市大江町=は、「堤防の坂を登りきれるか心配するような走り方だった。登れないときはいったん後ろに戻ってやり直していた」と振り返ります。

 北丹鉄道と国鉄を乗り継いで修学旅行に行ったという大槻博路さん(74)=同市大江町=は「北丹鉄道が宮津までつなぐ計画だったことは今回初めて知った。その計画を引き継ぐ京都丹後鉄道は通学利用者も多く、なくてはならない路線になった」と話していました。

 【福知山鉄道館フクレル第1回企画展】 年内開催予定。午前9時〜午後5時(最終入館午後4時半まで)。火曜休館(祝日の場合翌日休館)。一般500円、中小生250円、未就学児無料。同館TEL0773・48・9226。