旧陸軍16師団の将校・准士官の親睦・互助組織「偕行(かいこう)社」跡にあった鬼瓦を説明する奥村氏

 戦後77年・京都の戦争遺跡展(主催・戦争遺跡に平和を学ぶ京都の会)が昨年12月21日から23日まで、京都市下京区のひと・まち交流館京都で行われ、旧陸軍16師団の将校・准士官の親睦・互助組織「偕行(かいこう)社」跡にあった鬼瓦が初披露されたほか、京都府内各地の戦争遺跡や、同会が平和ツアーで訪れた海外の戦争遺跡の写真や解説文などが展示されました。

 16師団偕行社は、かつて京都市深草にあり、現在は聖母女学院を運営する「ヌヴェール愛徳修道会」の礼拝所や研修会所となっています。他の偕行社の多くは洋館だったのに対し、16師団の偕行社は和洋折衷で作られ、屋根には鬼瓦が乗っていました。

 同会が「ヌヴェール愛徳修道会」に依頼し、展示が実現しました。鬼瓦は陸軍の軍帽にもあった星形があしらわれています。

 このほか、昨年末に新たに撮影した宇治の陸軍火薬製造所分工場の引き込み線跡や「陸軍省」「陸軍用地」と刻まれた土地の境界の石柱、伏見の桃陵団地に残る軍馬供養のための「愛馬の碑」の写真なども展示されました。

 海外の戦争遺跡では、16師団が玉砕(全滅)したフィリピンレイテ島や、米軍やフィリピン軍の捕虜7万6000人を、収容所まで100㌔行進させ、1万人にもの死者が出たことで知られる「バターン死の行進」の跡地、激戦地インドのインパール、グアム、サハリン、サイパンの写真が展示されました。

 このほか、日米友好のかけ橋として戦前、米国から送られた青い目の人形に関する展示も行われました。

 同会代表の奥村英継さんは「政府は『専守防衛』を投げずてる『安保3文書』を閣議決定するなど、戦争への道を進もうとしています。私たちは、再び戦争遺跡をつくらせないため、戦争遺跡の調査・平和教育活動、戦争遺跡の保存活動を行ってきました。当会の活動が世界平和の一助となるようつとめたい」と語っています。