織田信長の時代、南蛮寺が建てられた中京区姥柳町にかつてあったものの、現在は祇園祭の休み山となっている布袋山(ほていやま)を、2025 年に巡行参加させようと尽力する一般社団法人祇園祭布袋山保存会(川島義明代表)は12日、「南蛮茶会Ⅵ―紅葉のしらべ」と題し、京都市山科区の毘沙門(びしゃもん)堂門跡を青木円学執事長の案内で見学しました。

 南蛮寺は、茶人でキリスタン大名の高山右近と父・高山友照らの協力で建設され、南蛮寺跡の発掘調査で茶道具の天目茶わんのほか、瓦器風炉、火鉢、香炉、茶入れなどが出土していることから、茶会が行われた可能性が高いとして、同会は「南蛮茶会」と銘打ち呈茶を行ってきました。ところが、コロナ禍で困難となったことから、文化企画を実施したもの。

 祇園祭の祭神をまつる八坂神社の本殿が2020年に国宝に指定され、今月八坂神社で奉祝行事として舞踊「七福神」が奉納されることにちなみ、布袋さんとともに七福神との一つ・毘沙門天をまつる毘沙門堂門跡を見学することにしました。

 毘沙門堂門跡で青木執事長は、文武天皇の勅願で現在の出雲路橋付近に開かれた同寺の歴史や、再建後の建築様式、江戸前期に活躍した幕府御用の絵師・狩野益信のふすま画や円山応挙の筆とされるコイの杉板戸などの美術について、時おりユーモアを交え、分かりやすく解説しました。