保健室閉室を告知する張り紙

 京都大学法学部の学生などが利用する文系保健室が、大学のまともな説明もないまま、今月末で閉鎖される計画が浮上し、学生に不安が広がっています。

 文系保健室は、法学部生、法学研究科、公共政策大学院の院生、関係職員が対象。

 時計台の北側、法経済学部北館2階にあり、平日の午前8時半から午後5時まで利用できます。養護教諭資格を持ち、小中高校での勤務経験がある専門スタッフが1人常駐し、健康や精神的な不安などについての相談に応じています。ベッドもあり、体調が悪化した場合、休憩できるようになっています。

 法学部、法学研究科のホームページでも、「さまざまな悩みが深刻化する前に気軽に相談できる場所」「小中高校にあった保健室のように気軽に利用して下さい」などと書いています。

 大学はまともに説明せず、文系保健室のホームページで8月末の閉室を告知しました。

 法学部学生自治会は、8月になって文系保健室前に同趣旨の張り紙があるのを見て、閉室を知りました。そこで、SNSなどを使って文系保健室のメリット、閉室のデメリットについて意見を募りました。

 約20人が回答。メリットについて「メンタルが崩れてもひとまず行くところがある安心感があった」「一人暮らしで、相談できる人がいない中、保健室の先生には友達にも言いづらいことを何でも聞いてもらえます。精神的に、かなり救われます」などの声があり、閉室のデメリットについて「相談できる場所がなくなる。最悪の場合には、自殺も」などの意見が寄せられていました。

 法学部学生自治会は、「一方的に学生の福利厚生を削減する大学の姿勢に断固抗議」と書いた立て看板を時計台前に掲げるとともに、交渉も計画しています。

 なお、同大学では全学部生、院生、職員対象の保健室を3月末、一方的に廃止したばかりです。

 法学部学生自治会自治委員の一人は「コロナ禍でなかなか人間関係が築けず、やっと対面の授業も始まるときに、なぜ、学生の最後のよりどころとなる文系保健室を説明もなく廃止するのか。廃止を撤回すべき。説明もなく強行する大学の姿勢を許せば、学生は大学の方針に何も言えなくなる」と語っています。