講演する、たじまゆきひこさん(6月18日)

 4月に、5作目となる沖縄戦絵本『なきむし せいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語』(童心社)を出版した絵本作家・たじまゆきひこさんが6月18日、京都市内で講演し、ファンや出版関係者、作家ら100人余りが参加しました。ギャラリーヒルゲートの主催。

 たじまさんは『なきむし せいとく』を読みあげ、40年余り沖縄へ通い、ライフワークとして描いてきた沖縄戦の集大成となる絵本として、できあがるまでの葛藤やエピソードを紹介。戦争を子どもが分かる絵本にするため、体験記を読んで訪ねたり、疎開先にいた子どもや被災者が育った孤児院を探して聞き取る、丹念な取材を重ねてきました。主人公の名前は当時の沖縄で最も多かった子どもの名前を選ぶなど、思い入れの一端を語りました。絵本には当初、「基地をなくすのはぼくたち」という文言がありました。出版前に沖縄の人から「基地をなくすのは沖縄県の人たちですか?」と問われ、考え直しました。「大好きな沖縄のことをまだ理解していない。自分への腹立たしさを感じている」と言います。

 たじまさん自身の戦争体験も主人公に重ねました。5歳の時、住んでいた堺市でアメリカのグラマン戦闘機から機銃掃射を受けた体験も語り、「今でも思い出すと怖い。でも沖縄は住民を巻き込んで3カ月以上も悲惨な戦争が続いた。こんなところは日本にはないんです。

 ほんの70数年前にこんな凄惨な出来事があったことに想像を広げてほしい。日本国民が考えなきゃいけない。戦争はしてはいけないのです」と述べました。

 たじまさんは『じごくのそうべえ』の読み聞かせも行い、地獄で鬼のお腹に入って暴れるそうべえたちの面白い語り口に、参加者から笑いが起こり、拍手も送られました。