新自由主義的政策に対し、住民が公共サービスの再公営化などの政策構想を持って対抗しようと活動する「ミュニシパリズム京都」(共同代表=新開純也、春山文枝)などが主催して5月24日、住民が環境破壊や災害など不安を訴え反対運動を展開している南山城村のメガソーラー現地視察が行われました。

 ミュニシパリアズム京都は、欧州の活動に学び2020年9月に結成。食・農業、エネルギー、自治、連帯経済―の4部会を設け活動。4月の知事選でもエネルギー政策の学習会を行うとともに、環境破壊のメガソーラー、風力発電所の問題の議論を呼びかけてきました。

 同村のメガソーラーは、米国大手パネルメーカーファーストソーラー社の目的会社が計画。知事が19 年1月、開発を許可。同年3月に着工し、パネル設置も始まり、今年中の完成を見込んでいます。

 住民は、希少動植物が生息する貴重な自然が破壊されることや、過去に土石流被害もあり、府の審査技術に反する谷の盛り土や河川のつけかえをともなう工事は防災上危険などとして反対運動を展開。19年4月には行政不服審査を申請しましたが、今年2月、審理庁は、府の主張を全面的に認め、申請人の請求をすべて却下・棄却する裁決を下しました。

 この日の現地視察には、メガソーラー建設反対運動に取り組む奈良県平群(へぐり)町や山添村の住民を含む約40人が参加。「南山城村の自然を守る会」の橋本洋一代表が現地を案内し、木が伐採された広大な造成地に工事車両が土ぼこりをあげながら走りまわる様子には参加者から驚きの声が上がりました。

 見学後、懇談会が開かれ、橋本代表が反対運動について報告。住民の声が行政に聞き入れられず、開発が強行され、行政不服審査も却下・棄却されたことに悔しさをにじませながら話しました。また、全国の反対運動の経験もふまえ、森林法などが開発を規制する内容になっておらず、環境を守るためには法や政治を変えていく必要があると強調しました。

 国土問題研究会の奥西一夫副理事長は、府が、府の審査基準に違反する計画を容認し、工事中に土石流の痕跡を示す地層が確認されたにも関わらず、工事中止や調査実施などの指導をしなかったことなどを厳しく批判しました。

 奈良県平群町、山添村の住民も活動を報告。ミュニシパリズム京都のメンバーから、太陽光など地域のエネルギーは地域の共有財産であり、全国で住民のために使う取り組みが始まっているとの発言もありました。

 日本共産党のたけやまさいこ参院京都選挙区予定候補も参加し、「開発地の大きさに驚くとともに、豊かな自然を破壊し、災害の危険がある計画を府知事が認めたことに憤りを感じる」と話していました。