京都府は5月31日、府立植物園(京都市左京区)の再整備に関する有識者懇話会の初会合を開き、府が策定した「北山エリア整備基本計画」をはじめ、植物園の整備のあり方について委員らが意見を述べました。府の計画に対し「賑わいの創出は不要」「植物園を公園にしようとする計画」など厳しい意見も出されました。

 同懇話会は、府が2019年に策定した「府立植物園100周年未来構想」や「北山エリア整備基本計画」などをもとに、園の施設整備などについて意見を求めるために設置されたもの。

 「北山エリア整備基本計画」をめぐっては、植物園内での商業施設やイベント施設の建設や出入り口を増やす案、研究機能の強化などが打ち出され、市民や専門家から批判の声が上がっています。

 同日は委員11人のうち、8人が出席し、日本植物園協会の岩科司・前会長を座長に選出。府の担当者が植物園の歴史や整備の経過、施設整備の検討内容について説明しました。

 遊川知久・国立科学博物館植物研究部多様性解析・保全グループ長は、府立植物園について「真の総合植物園として日本の標準、スタンダードとして発展していただきたい」とし、教育や研究機能を充実させることなどを述べました。

 角野幸博・関西学院大教授は、「植物園はただの公園ではない。『生きた植物の博物館』」と強調し、バックヤードの重要性や地域の歴史や文化に目を向けることなどを述べました。

 同日、日程の都合で欠席した松谷茂・元園長はコメントを寄せ、府の「北山エリア整備基本計画」について、「植物園を公園化する計画」「本来の使命である植物を見せることを犠牲にし、にぎわいを必要と考えることに悪意を感じる」と批判。さらに研究機能について、「植物園が行う研究と大学などの研究者の研究は別のもの」とし、植物学研究機関などを設置するのではなく、あくまで植物園としての栽培研究を軸に強化すべきとしました。

 他の委員からは「100年というターゲットを設けて、北山エリアを一体化する検討を」「時代に応じて変化していくのが大切」「利用者がどのように楽しんでいるのか」など、さまざまな意見が出されました。