「北山エリア整備基本計画」の見直しを求める運動に取り組んできた「北山エリアの将来を考える会」は5月21日、京都市左京区の府立京都学・歴彩館で学習交流会を開催し、103人が参加しました。

 公共施設の民営化問題に詳しい、尾林芳匡弁護士が、公共用地を企業のもうけの場へ活用している問題について講演。1999年に、民間による公共施設整備などを定めた「PFI法」が成立後、全国各地の状況について解説。仙台市の施設で温水プールの天井が落下した事故や、福岡市の健康増進施設で民間事業者が撤退したこと、名古屋港のイタリア村で運営会社が170億円の負債を抱えて経営破綻した事例などを紹介し、「民間企業が参入すると利益を出さなければならず、雇用も非正規や派遣が多くなってしまう。政府も法改正して民間企業の参入を推進してきたが、失敗が相次いでいる」と指摘しました。

 さらに全国的に都市公園の再開発によって、樹木の伐採などが狙われていると指摘。神奈川県相模原市では、公園を開発して公共施設などの複合施設を建設する計画に多くの市民が反対意見をあげたり、兵庫県明石市の県立公園の樹木伐採計画について市長が県に対して要望書を提出するなどしているとし、「『北山エリア』でも地方自治体の土地を利用し、民間企業が利益を上げることが狙い。収益を優先して植物園などの開発が問題になっている。『住民の福祉の増進』をめざし、住民を主人公にした計画にする必要がある」と述べました。

 「京都府立植物園整備計画の見直しを求める会」の鯵坂学共同代表は、見直しを求める署名が13万人分を超えるなど、この間の運動について報告し、「植物園だけでなく、全国でも自然を壊す開発問題が起こっている。東京や神戸の運動とも協力しながら、日本の文化、自然を守るたたかいを続けていきたい」と述べました。

 「北山エリアの将来を考える会」事務局の森吉治さんが報告。府が体制を強化して計画を推進していることに対し、「府民や学生への説明責任を果たすよう求めていきたい。20万人の署名を目指し、全国の運動と連帯し、さらに世論を広げていこう」と訴えました。

 東京の神宮外苑の再開発計画で樹木約1000本を伐採・移植する計画に反対する運動や、神戸市の王子公園に大学を誘致し、園内の動物園は縮小して遊園地やプール、テニスコートなどを廃止する計画に反対している人たちが参加。全国の公有地の開発計画の中止・見直しへ向けて連帯し、運動していくことなどが発言されました。