今村克彦さん

 「炎のダンス」「魂の踊り」などを称され、国内外で注目を集めるダンスチーム「関西京都今村組」(木津川市)は、沖縄の本土復帰50周年にあたる5月15日、那覇市の琉球新報ホールで記念ライブを開催します。代表の今村克彦さんに、開催の動機、ライブで訴えたいことなどを聞きました。

 

 ―沖縄でライブを開くことになった経緯は

 2018 年、沖縄の薬物やアルコールなどの依存症更生施設のスタッフの人に施設を見学してほしい、踊りを教えてほしいと頼まれ、見学に行ったことがきっかけです。

 多くは生きる希望をなくしていました。ダンスを教えると、真剣に指導されるのが新鮮だったようで、人生を生き直そうと必死で取り組んでくれました。結成1年後に出場した福岡の祭りで110 チーム中、決勝の8チームに残りました。「もう薬を止められる。もっと気持ちいいもの(ダンス)を見つけたから」と言ってくれたことが忘れられません。

 沖縄で親しくなった小中学校校長会会長から沖縄県は子どもの貧困率が最も高いと教えられ、教師をしていながら、知らなかった自分を恥じました。

 阪神・淡路大震災のときに、一緒にチャリティーライブをやっていた河島英五さんから「絶対10年やらんとほんまもんにならん」と教えられ、10年連続のチャリティーライブを神戸、北海道夕張市、東日本大震災の被災地・岩手県三陸町と続けてきましたが、次の自分の課題は沖縄だと思いました。

18年に浦添市で初ライブをして学校の先生のダンス講習会なども開き、翌年には名護、沖縄、浦添、那覇の4都市縦断ツアーを実施しました。

―沖縄に通うようになった気づいたことは

 沖縄は、戦時中、唯一地上戦が行われた地であり、本土の捨て石、防波堤になった地でもあります。いたるところに米軍基地があり、集中している。知ったつもりにいた県外との格差、矛盾が実感として分かってきました。県外の人間が沖縄を見、沖縄から発信する必要性を強く感じました。

 コロナ禍の下、ライブは出来なくなりました。昨年末に沖縄に行った際、今年が本土復帰50周年だと知らされ、ならばその日にライブをしようとなったわけです。

 ―当日はどのような内容になりますか

 オリジナルだけでなく、BEGINの「オジー自慢のオリオンビール」や沖縄返還30周年のイメージソング「島人(しまんちゅう)ぬ宝」を踊りにしたものも披露します。世界エイサー大会で金賞を受賞した鼓衆若太陽(ちぢんしゅうわかてぃーだ)、沖縄で人気のお笑い芸人首里のすけも出演し、大物アーティストのビデオ出演も予定しています。沖縄の若者たちに何が託されているのか、踊る側、見る側が確認する場にしたいと思っています。

 午後3時半(午後3時開場)。一般2500円、高校生以下500円。問い合わせ☏090・8231・3181(Office REY)。