民放労連京都放送労組は、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から11年を迎えた集いを3月30日、KBS京都(京都市上京区)社屋内で開きました。「3・11」の記憶を受け止め、被災地の人々の思いに連帯する集いとして毎年開いているもの。今回は、原発賠償関西訴訟原告団の代表で、「東日本大震災避難者の会サンクス&ドリーム」代表の森松明希子さんを講師に招き、「3・11から11年目のいま」と題し、報告を聞きました。

 主催者あいさつで古塚幸一郎委員長は、3・11の福島原発事故で原発の安全神話が大きく覆ったが、いまのウクライナ情勢からも原発の危険性が白日の下にさらされていると述べ、「11年が経つ避難者の生の声、気持ちを聞き、学習の機会にしたい」と話しました。

 福島県郡山市から大阪市に母子避難してきた森松さんは、原発の危険性を、いまのウクライナへのロシアの侵略の姿と重ねて訴えました。また、被爆を避けるために自主的に避難した人、放射能汚染の危険性を訴える発言に対し、誹謗中傷という形で、自由な言論を抑圧する国内の風潮を、戦時の空気と似ていると述べ、「口を閉じてはいけない。原発事故によってどうなるか、避難の事実を記録し残さなくてはいけない」と強調。

 避難者のおかれた実態を、日本国憲法にうたわれる基本的人権の視点で見ることの重要性を指摘し、「被ばくからの避難は人権の問題。生命・健康を守るために逃げることを権利として考えてほしい」と話しました。

 参加者の質問に応じて、2018年に、国連人権理事会(スイス・ジュネーブ)で、原発事故後の母子避難の実態についてスピーチした経過と内容についても紹介しました。