©2021水口屋フィルム/ノンデライコ

 京都パート・非常勤ネットは、監督自ら宅配サービス「Uber Eats」(ウーバーイーツ)で働きながら自らを撮影したドキュメンタリー映画『東京自転車節』を11月23日(火・祝)、京都市中京区のハートピア京都で上映します。

 日本映画大学を卒業後、故郷・山梨県に帰り、代行運転業や映像制作をしていた青柳拓監督(28)。コロナ禍で仕事がなくなり、奨学金の返済に行き詰まってしまいました。そのときかかってきたのが「ウーバーで働きながら東京で撮ってみない」という電話。声の主は大学の先輩で本作の構成・プロデューサーを担当する大澤一生さん(46)でした。

 2020年3月当時、山梨では東京に行くとコロナに感染するといううわさも飛び交っていましたが、「何か撮れるのでは」との野心と、背に腹は代えられない経済事情も相まって、友人に自転車を借りて、東京に向かいました。

 撮影用のカメラはスマートフォンと小型高画質カメラ「GoPro」を使用。最初は一日数千円の収入しかありませんでしたが、徐々に土地勘もつき、友人や配達仲間からノウハウを聞き、収入も増えていきます。さらに、一定の配達条件を満たすと得られる成果報酬を多く得ようと、なりふり構わず行動するようになっていきます。

 アクシデントに見舞われても〝事業主〟扱いで補償もないことや、今年3月、一部地域で配達報酬引き下げが報じられたことなどを通し、大資本の前で配達員たちが無力な存在であることを浮き彫りに。監督は、自分たちは振り回されて使い捨ての存在であるという、英国のケン・ローチ監督の作品のメッセージを強く意識したといいます。

 コロナ禍の下での東京の街を撮影した記録的映像。監督自身の明るく、やや無計画な性格なども作品に魅力を添えています。

 午後2時(午後4時終了予定)。無料。定員100人。申し込み順。参加希望者は22日までに要予約。問い合わせ☎075・801・2308、✉sohyo@labor.or.jp(京都総評)。

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