日本共産党京都府委員会と同府議団、同京都市議団は6月2日、京都府内を縦断する北陸新幹線「延伸」計画(敦賀―新大阪)の中止を求める「呼びかけと見解」を発表しました。2016年に同計画中止などを求める見解を発表しており、今回で4回目となります。

 同計画の建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は2023年の着工を目指し、昨年12月から建設予定地で環境アセスメントの本調査を開始しています。

 会見した渡辺和俊府委員長は、新たに見解を発表した理由について、与党のプロジェクトチームに新たに京都選出の二之湯智参院議員が加わったことや、鉄道運輸機構の新理事長・副理事長に京都ゆかりの官僚が就任したことなどをあげ、「推進勢力が本気で建設へ乗り出している」と指摘。また、新たな問題点として、建設残土が880万立方㍍にのぼると試算されたことや、京都市内市街地で検討されている大深度地下工事(地下40㍍以深でのトンネル工事)をめぐって、東京外かく環状道路工事で事故が発生して大問題になっていることなどをあげ、「2兆1000億円もの費用負担とともに、コロナ禍のもとで、大型開発に巨額の税金を投入することは時代の流れに逆行するもの」と述べました。

総選挙、知事選の大争点に

 そして、「これまでも住民運動が広がり、大文字山のゴルフ場建設、ポンデザール橋建設などの大型開発を断念させてきた。総選挙や来年の知事選でも大きな争点にし、延伸を中止させたい」と語りました。会見には原田完府議団長、加藤あい京都市議団幹事長らが参加しました。

 よびかけでは、大量の残土が出ることなど巨大な環境破壊となることや、巨額の税金投入は中止し、「みなさんと力を合わせて延伸計画をストップさせましょう」と訴えています。

 見解では、財界主導で、安倍・菅政権による延伸計画の狙いや早期開業を迫る動きなどを告発。噴出する計画の大問題として、▽工事にともない大量の排出残土・建設汚泥が発生し、環境汚染や水環境、断層への影響が懸念されること▽大深度地下工事によって中心市街地に重大な影響が出る問題▽2兆1000億円の建設費がさらに膨張し、国民と自治体に大きな負担を押し付ける―ことなどを指摘しています。

 そして時代遅れの「延伸」計画は中止し、コロナ禍のもとで命と暮らしを守り、環境保全や公共交通の充実、東海道新幹線や在来線の耐震化を最優先にすることなどを求めています。

 「見解と呼びかけ」全文はJCP京都のホームページからダウンロードできます。

会見する(左から)加藤あい京都市議団幹事長、原田完府議団団長、渡辺委員長の各氏ら(6月2日、府庁内)