新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、綾部市民有志が、福祉・医療の現場などでの社会的検査の実施を求める住民団体を結成し、「市民への検査拡充を含めて、早期に実現させたい」と施設訪問や議会請願、行政への要望などに取り組んでいます。

 この住民団体は、「あやべPCR検査を求める会」(山口昭雄代表)。新婦人綾部支部や綾部健康友の会のメンバーら8人が中心となって、昨年8月に結成しました。結成のきっかけは、同会の吉崎篤子さんがコロナ禍の困り事を聞き取る中、保育士や看護師から日々の業務での感染への不安とともに検査を求める声が寄せられたことです。「せめて医療、保育、学校などで定期的な検査ができないものか」と取り組みを始めました。

 現在、福祉施設、保育所、医療期間、学校など同市内の60以上の施設を訪問し、日常的な感染リスクを抱えながらも、「エッセンシャルワーカー」として、社会を支える業務に従事する職員への感謝状を手渡し、状況や要望を聞いています。訪問すると、「すぐにでも検査をしてほしい」という切実な要望を寄せた介護施設もあるといいます。

 4月23日には、「あやべ作業所」を訪問。管理者は、全国的に社会的検査が広がりつつあるもと、入所施設であることから検査対象になっていないと言い、「持病がある利用者など、感染が出ると命に関わるので緊張感を持って仕事をしています。ワクチン接種が済むまで、せめて月に1度ぐらいの定期的な検査をしてほしい」と語りました。

 同会では、5月中に府と綾部市と懇談する予定で、訪問結果も伝えながら検査拡大の要求を届けます。

 同会は、昨年12月にも激励の色紙とメッセージを持参して54施設を訪問しており、「検査が進まない。もっと府が動いてほしい」(保育施設)などの声が寄せられていました。また、昨年の同市議会9月定例会へ請願を提出(日本共産党のみ賛成で不採択)。住民への検査拡充を含めた市長や府への要望、学習会の開催などに取り組んできました。

 検査拡充をめぐり、綾部市は独自施策として、高齢者福祉施設の新規入所者へのPCR検査実施(1度のみ)を新年度予算に計上しました。また、昨年1月には、与党会派が「誰でも何時でもどこでも」PCR検査を受けられる体制づくりを市長に申し入れています。

 吉崎さんは「市の独自施策など部分的な前進もある。与党会派は請願に反対していたことを考えれば、検査拡充の必要性に対する認識が広がってきている」と話します。山口代表は、「大規模検査とともに、無症状感染者を保護する仕組みも必要だと感じており、市民からの要求活動を強めていきたい。何より府内各地でこうした取り組みを広げていけば、実現の力になると思う」と力を込めます。