建設アスベスト京都1陣訴訟で、国の賠償責任を認めた大阪高裁判決が確定(1月28日)したことを受け、厚生労働省の事務方幹部が3月25日、京都市を訪れ、原告らと面談し、謝罪しました。原告への直接の謝罪は、原告団・弁護団から国に宛てた要求の一つです。

 京都市南区の京建労会館で、小林高明・大臣官房審議官が原告である被害者本人・遺族を前に、「責任を感じ、深くおわび申し上げます」と田村憲久厚労大臣の謝罪文を代読。原告団を代表して、長野好孝さん(78)が文書を受け取りました。

 会場には、同訴訟の原告団・弁護団の結団式(11年3月)で寺前武夫初代原告団長らが手を重ねる写真と、すべての被害者の救済を求める京建労の新ポスターを貼付。1陣から12人、2陣から5人の原告が集いました。

「一緒にたたかった友は亡くなった」「救済のための基金制度を」

 本人原告の中尾知満さんは、写真を指さし、「一緒にたたかった友は亡くなり遺族が継いだ。(勝利は)10年かけてやっとの結果。早期解決を願う」と述べ、遺族原告の北村光子さんは、「一日も早く、若い人が安心して働ける建築現場にして」と要望しました。同じく義經若枝さんは、「いくら謝罪されてもお金を積まれても被害者は帰って来ない。厚労省が企業に働きかけ、救済のための基金制度を作って」と訴えました。

 弁護団長の村山晃弁護士は、裁判で国は14回敗訴しており、国の対応は遅いと指摘。「最高裁の判断を無にすることなく、一日も早く被害者が救済される制度を作ってほしい」と話しました。

 「原告は代表選手」と裁判を支える京建労の平山幸雄委員長は、「命あるうちの解決」を願い裁判を続けてきたが原告の70%が亡くなったこと、「建設アスベスト補償基金制度」の創設に向けた超党派議員の動向に触れて、「被害発症のピークはこれからです。裁判を起こすことなく、すべての被害者の救済を」と求めました。

 同京都1陣訴訟は、被害原告25人のうち24人に、国と企業の責任が確定。残る1人に対しての最高裁の上告審弁論を終えました。