京都府が、京都市左京区の府立植物園や旧総合資料館跡地、府立大学などの文教施設が集中する一帯で進める再開発計画について、問題点を学び交流するための懇談会が12月19日、同区内で開かれました。府職労連と左京区民らでつくる「左京まちづくり連絡会」の共催で、オンラインでの視聴も含め約50人が参加しました。

 再開発計画は、府が委託した「あずさ監査法人」(東京都)による「北山エリア整備基本計画(最終案)」です。同計画によると、西は賀茂川、北は北山通、東は下鴨中通、南は府立大学の南側境界に囲まれた範囲を「北山エリア」(38㌶)と設定。「賑わい・交流施設の整備」を目的に、▽府立植物園にはカフェ、レストラン、ミュージアムショップ▽府立大学には、観客席1万人規模のメーンアリーナを備えた共同体育館のほか、キャンパス施設▽旧総合資料館跡地には500~600席のメインホールを備えたシアターコンプレックス―などの整備を進めるとしています。併せて、施設整備・運営は、民間企業が企画・運営し、営利活動を行うとしています。

 木守保之・府職労連委員長があいさつ。府立大学准教授で、府公立大学法人労働組合委員長の長谷川豊さんが、府立大学の現状と体育館のアリーナ建て替えの問題点を告発。「大学校舎の多くが老朽化し、耐震化率は51.7%にとどまっている。全国の国公立大学の耐震化率は90%を超えており、全国でも最低ランク。いま必要なのは安心して学べる校舎への建て替えや耐震化」と訴えました。1万人規模のアリーナを備えた共同体育館について、「計画では、府立医科大学、府立大学が授業や課外活動での使用や京都工芸繊維大学との共同利用とするとしながらも、メイン機能は『賑わいづくり』となっている」と強調。イベント重視となり、最優先とすべき大学の教育機能が軽視される危険性を指摘しました。

 日本共産党府議団の光永敦彦幹事長は「一体の何のための計画なのか」と指摘。北山通沿いには商業施設を設けて賑わい施設をつくるとともに、ホテル計画も浮上していることなどを挙げ、「閑静な北山エリア全体が、もうけありきでまちのあり方が根本的に変えられようとしている。西脇知事のもと、この北山エリアを突破口に民間主導の開発を府全体で推し進めようとしている。自治体のあり方が問われる問題」と告発しました。

植物園本来の役割失われるのでは

 府立植物園職員の磯見吉勝さんは、「営利目的の施設整備、運営が優先され、閑静な住宅街と共存し、国際的にも評価の高い植物園本来の役割が失われるのではないか。府立植物園は府民の宝だ。その役割を今後も守っていきたい」と訴えました。

 このほか、「文芸会館の未来を考える会」の中村暁さんや地元住民らが発言しました。