京都市が10月に発表した、高さ制限を一定の条件で緩和を認める「特例許可制度」で、対象を民間にも拡大する案をめぐり、市は6、12の両日、市内で住民説明会を開きました。市の案は、明確な許可基準のない、なし崩し的緩和策で、参加者からは「景観保全のための新景観政策に逆行する」との反対意見が続出しました。

 特例許可制度はこれまで、事実上、病院や大学などの公的施設に対象を限定してきました。一方、今回の案では、対象を「まちづくりへ貢献する建築物」とするだけで、明確な許可基準はありません。また、構想段階から事業者が地域住民と協議し、合意を得るとするものの、その保障も示されていません。

 11月12日の説明会には約20人が参加。ある男性は「一部地域の住民の意見だけで、規制を緩和していいのか。せっかく新景観政策で景観を守ったのに、なぜまた景観をいじめる施策を進めるのか」と訴え。別の男性も「高さの緩和は、市内全域の景観に影響を与える問題だ。それなのに、住民の意見が反映される保障もなく、地域の住民だけの協議で緩和を認めるというのでは、景観に対する配慮を欠いている」と指摘しました。

 ある女性は「高さの緩和が『まちづくりへの貢献』となるのか。京都らしい景観、まち並みの保全こそ必要」と述べました。別の女性も「緩和は絶対反対。建物が高くなれば、日照など近隣の住環境は悪化するだけ。京都は歴史都市であり観光都市。建物の高層化は、市民だけでなく京都の経済にとっても不利益」と訴えました。

 市は11月25日まで市民意見を募集しています。問い合わせ☎075・222・3397(景観政策課)。