京丹後市の米軍レーダー基地

 京丹後市の米軍レーダー基地(経ケ岬通信所)関連の新型コロナウイルス感染が拡大を続け、計15人(8月17日段階)に達しています。同基地を含め、在日米軍基地での感染拡大は、米軍が国内法の適用を除外され、日本側の検疫なしに自由に基地に出入りできるという日米地位協定の問題点を改めて浮き彫りにしています。

 日本政府は世界的な感染拡大を受け、米国を含めた146の国・地域(8月12日段階)に過去2週間以内に滞在した外国人の入国を特段の事情がない限り認めていませんが、米軍は地位協定に基づき、日本に自由に出入りすることができます。

 また、検疫については地位協定上に規定はなく、日米合同委員会の1996年の合意では米軍関係者が航空機や船舶で在日米軍基地から日本に入国する場合の検疫は、米軍の医官が必要な時に実施するという「米軍任せ」となっています。

 感染者の情報開示に関しては、2013年の日米合意に基づき、米軍の医療機関と日本の地元保健所との間で情報を共有することになっており、日本政府は「必要な情報が共有されている」という認識を示しています。しかし、今回、経ケ岬通信所での集団感染で明らかになったように、保健所が感染拡大防止に必要として求めている、感染者の行動履歴や濃厚接触者の状況などの詳細情報が速やかに提供されていません。

 こうしたもとで、住民や自治体の要求が動かしている点もあります。当初、在日米軍は米国防総省の方針に従って基地ごとの感染者数の公表を拒否し、拡大防止策の徹底にも消極的で、日本政府もそれを容認してきました。  しかし、住民や(在日米軍基地のある都道府県でつくる)渉外知事会などが要求するもと、在日米軍司令部は7月21日から基地ごとの感染者数の公表を開始。さらに、同月24日以降、海外から基地に直接入国する軍人・軍属とその家族らへのPCR検査を義務付けるとしています。