乙訓社会保障推進協議会(小間清次議長)は、長岡京市の公民館で同協議会が4月に開催を予定した講演会について、同市が後援の申請を承認しなかった問題で、不承認の理由やその後の市の対応に疑問があるとして、7月14日、中小路健吾市長あての公開質問状を提出しました。27日までに書面での回答を求めています。

 講演会は、精神科医の香山リカさん(立教大学教授)を講師に、「診察室から見えるリアルなニッポン―貧困、差別、ハラスメントとうつ病」と題して、4月25日に予定したものです。

 同協議会によると、3月3日付で、「行政の運営に支障が生じるおそれがある事業と考えられるため」との理由で後援が不承認とされ、理由に納得できず懇談した際に、市が南丹市の子育て講演会(2018年)で、香山さんの出演を巡って妨害を示唆する予告を受けて講師を変更した事例をあげ、市に対する抗議の実態や危険性がないにもかかわらず、「市民に危害が及ぶことを懸念している」と弁明しました。

 この不承認の対応をめぐっては、京都弁護士会が5月20日付で、「地方公共団体の後援判断に際し表現の自由を求める会長声明」(日下部和弘会長)を発表。長岡京市議会6月定例会の一般質問でも取り上げられ、市長は、「問題が、表現の自由を守るか否かという議論にずれてしまっている」と答弁しました。

 同協議会は、これらの経過を踏まえて、公開質問状で、▽弁護士会の声明の、「抽象的な『危険の可能性』を根拠に、表現の自由の行使を支持しないという態度を取ることも、健全な民主主義社会の維持発展のために不適切なものであると言わざるを得ない」との指摘への見解▽なぜ、講演会の後援を不承認にすることが市民の安全を守ることになるのか―など4点について見解を求めています。

 申し入れた同協議会の役員らは、自治体には、民主主義を維持・発展させる責務があり、憲法が保障する集会や言論等の自由を最大限尊重し対応すべきだと指摘。民主主義の問題として、市の対応は黙認できないと話しています。

 京都社保協の松本隆浩事務局長は、「一地域の問題ではなく、全府的位置づけで運動を重視したい」と話しています。