新婦人伏見支部と退職教職員らが伏見区大手筋で署名行動。教え子や若い母親らと対話が弾みました(6月28日)

 子どもたちに少人数学級を贈ろう――新型コロナウイルスとの長期的な共存が求められるなか、再開から1カ月が経過した学校では、子ども一人ひとりの学びを保障し、心身のケアを行う、手厚く、柔軟な教育が必要となっています。しかし、現状は40人近い学級が多く、「密」を避ける感染防止もままなりません。こうしたもとで、京都では新日本婦人の会京都府本部と京都市教職員組合の呼びかけで、「先生を増やして少人数学級を実現しよう」と京都市長宛ての緊急署名運動がスタートしています。

 「えっ、まだ40人学級なんてやってるの? 今時、そらあかんわ」。新婦人伏見支部と退職教職員らが6月28日、伏見区大手筋で取り組んだ署名宣伝で、40代の男性が驚いた表情で立ち止まりました。2人の子どもを保育園に通わせる母親(48)は、「公教育こそ、コロナ禍の中でもしっかりとした教育ができるよう条件整備してほしい」と署名に応じていました。

 京都市内の小・中学校は、約3カ月に及んだ長期休校を経て、6月1日から再開。当初1週間は学級の半数ずつの分散登校でしたが、6月15日から通常の授業形態に戻っています。学級規模は、国の制度は小1・小2は「35人学級」で、以降は高校まで「40人学級」。京都市では国の制度に加えて、中3が30人学級となっていますが、現状は20人程度の少人数学級には程遠い「31人~40人」学級が、小学校で36・7%で、中学校では47%と約半数に上ります。

 国は、第2次補正予算で加配を決めましたが、わずかに3100人。京都では、京都市に30人、府内の市町村に107人の教員が加配される予定ですが、まったく足りません。

 京都市教組と新婦人府本部が呼びかけた緊急署名では、▽子どもたちの心身のケア、丁寧な学習を保障するため、また感染防止のために20人程度の学級に▽給食の準備・片付け、毎日の教室内外の消毒、トイレ清掃など教職員の感染予防の取り組みをサポートする人員の配置─などを要望。現在、署名数は1000人を超えています(6月末時点)。

 新婦人東山支部が6月25日に三条保育所前で行った署名行動では、「分散登校でクラスの人数が減ったおかげで、休みがちだった次男が楽しく学校に通えるようになった」と話す母親(38)が署名に応じていました。「今は31人に戻り、マスクと手洗いで怒られてばかりで学校に行きたくないとごねています」と話します。

「分散登校」経験、緊急性伝わる

 新婦人府本部の魚山栄子会長は、「分散登校を体験したことで、少人数学級の切実さと緊急性が伝わり、大きく運動が広がる可能性があります。実現に向けて広く呼びかけていきたい」と話しています。

世論も動く 知事会など地方3団体「早急に実現を」

共産党「少人数学級をプレゼントしよう」

 教職員増と少人数学級の実現は待ったなしの課題です。日本共産党は、学校再開にあたっての提言を発表(6月2日)し、10万人の教員増とそれを活用して子どもたちに少人数学級をプレゼントしようと呼びかけました。国会では、志位和夫委員長が政府に少人数学級の取り組みを提案し、安倍首相も「コロナ後を見据えて検討していきたい」と応じました(6月10日、衆院予算委員会)。

 世論も広がっています。全国連合小学校長会会長は、「ウイズコロナ時代では20~30人が適当では」(「日経」6月22日付)と述べました。

 さらに、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体は3日、現在の40人学級では新型コロナウイルスの感染防止は困難だとして、萩生田文科相に少人数学級を早急に実現するよう求める緊急提言を提出。提言では、「公立小・中学校の普通教室の平均面積は64平方メートルで、現在の40人学級では、感染症予防のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難」と指摘し、少人数学級実現へ「教員の確保が是非とも必要」と訴えています。