イラスト・辻井タカヒロ

詐欺をするには〝好条件〟そろう

 自分は詐欺なんかに遭わないよ! なんて思っている人は多いのではないでしょうか?

 警察庁が発表する特殊詐欺被害件数は昨年1年で1万6836件。金額にして301億5000万円にもおよんでいます。内訳はオレオレ詐欺や架空請求詐欺が多くなっています。今年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急経済対策の「一人一律10万円給付」に便乗した詐欺がすでに発生しています。

 報告事例は次のようなものがあります。「給付金10万配布につき、お客様の所在確認」といったメールが届き、添付のURLにアクセスし、手続きを進めていくとクレジットカード番号や暗証番号を要求され、情報を抜き取られる。大阪府豊中市では市役所職員を名乗る男から「コロナの給付金の手続きをします」との電話がかかり、その後訪問してきた男から「キャッシュカードが古いので新しいものと取り換えます」と言われてカードを渡したところ、現金100万円をだまし取られる。なかには、「排水管がコロナに感染しているから今すぐ工事が必要」とのウソの説明で高額請求されるものもありました。

 これまでの詐欺は、孫などになりすまし、「事故を起こした」「事業に失敗した」などと金銭の振り込みを求めることが多く、主に高齢者が狙われていました。

 ところが今回は、全世帯が対象で、しかも外出自粛により在宅の率が高い。みな不安が募っており、日頃会話が出来ないことも重なって電話がかかってきたり、訪問されるとつい話してしまいがちです。詐欺を働く側にとっては〝好条件〟がそろっているといえます。

最寄りの警察にすぐ相談を

 そこで、NPО法人コンシューマーズ京都では、先月に詐欺被害を防止するために理事会声明を発表しました。そこでのべた注意点について紹介したいと思います。

 「給付金10万円配布につき、お客様の住所や口座番号を確認します」などのメールが届いたらすぐ削除してください。添付されているURLにアクセスすると個人情報が抜き取られる恐れがあるからです。

 また、一律10万円給付申請書は、世帯主に郵送され、記入後は返送するか、インターネットを使って手続きするだけです。個別に電話がかかってきたり、訪問を受けるものではありません。そんな時は、詐欺と疑ってください。その場で判断せず、最寄りの警察に相談しましょう。不審に思った場合やトラブルに遭った場合は、お金を「送る・手渡す・振り込む」前に警察や消費生活センターなどに相談しましょう。

 「排水管がコロナに感染しているから今すぐ工事が必要」といった場合も同様です。新型コロナウイルスに便乗した悪質商法については、国民生活センターの注意情報などで確認してください。

 このような消費者への注意喚起以外に、行政や警察、金融機関への要望も合わせて発信しています。詳しくは、ホームページをご覧ください。

 コンシューマーズ京都では、詐欺の手口や対応、キャッシュレス決済などの学習・講習を京都市などと連携し、10年以上一般向けや大学の授業でも行っています。単にだまされないだけでなく、消費者が社会にどのような影響を及ぼしうるのかなどについても、学んでいます。関心のある方はぜひ問い合わせください。

 問い合わせ☎075・251・1001(コンシューマーズ京都)。