19日告示の京都市長選挙を前に、立候補予定者の公開討論会(京都青年会議所主催)が14日、市内で開かれました。弁護士で、「つなぐ京都2020」の福山和人氏、現職の門川大作氏、市議の村山祥栄氏ら5人が出席。福山氏が掲げる「すぐやるパッケージ」による暮らし応援の政治か、門川氏の観光インバウンド優先で、暮らし切り捨て、まち壊しの市政継続か、「2極対決」が鮮明となる論戦が展開されました。

 観光政策について、門川氏は観光消費額の伸びが、京都経済の活性化につながってきたと述べた上で、「交通混雑対策やマナーの徹底などで、(観光公害に)対応していく。宿泊施設『お断り』宣言をし、今後は事前協議制やバリアフリー化の徹底で、簡易宿所の抑制を図る」などと述べました。

 村山氏は「(市の観光)政策はおおむねうまくいってきた」と評価しながら、「観光公害への対応は遅れてきた」と指摘。「ホテルの立地規制が必要。観光公害への対策のために、宿泊税を全額充てるべき」と述べました。

 両氏の主張に、福山氏は「観光消費額が増えたと言い、観光はおおむねうまくいっていると言うが、市民生活は潤っていない。ホテルはいらないと言いながら、植柳小跡地(下京区)、仁和寺門前(右京区)ではホテルを進めるというのでは、理解は得られない」と批判しました。併せて、「行き過ぎた観光客の誘致で、交通混雑などの観光公害は深刻化し、地域コミュニティーの崩壊や投機マネーによる土地高騰を招いている」と述べ、「宿泊施設の総量規制、上質宿泊施設誘致制度の撤回が必要だ。住んでよし訪れてよしの観光政策を進める」と訴え強ました。

 景気対策では、福山氏は「景気のメーンエンジンは市民の家計。市民のふところを温めることだ。そのために、全員制中学校給食の実施、子どもの医療費無料化の中学卒業までの拡充、給付制奨学金の創設などの『すぐやるパッケージ』を実行する」と主張しました。

 村山氏は、若者の働く場所を確保するために、「市立芸大の京都駅前移転は白紙に戻す」と述べ、同大移転予定地について「東京の資本も呼んできて、再開発を官民一体でおこなう。都市計画の規制の緩和も行い、企業がもうかる街をつくっていく」などと述べ、規制緩和による大企業の利潤最優先の再開発の必要性を訴えました。門川氏も、オフィスビルや若い人の住宅のためにとして、「新景観政策を堅持しながら、規制緩和を進める」と述べました。

 若年層対策では、福山氏は、「子どもの医療費無料化の状況は、京都市が府内で最も遅れている」ことなどを挙げ、門川市長の「子育て環境日本一」の主張を批判。改めて「すぐやるパッケージ」の必要性を強調し、「お金がないのではなくやる気だ」と訴えました。併せて、保育士の配置基準や待遇改善、番組小学校の統廃合も見直すべきだと述べました。

 「福祉を削れ」「予算は半分に」(出馬表明時の会見)などと主張している村山氏は「次世代につけを背負わさない。そのためには財政再建をしっかりやる」と訴え。門川氏は、子どもの医療費無料化では、対象年齢を拡充するとは述べず、中学校給食も全員制ではなく、現行の選択制「デリバリー弁当」に固執しました。

 討論会には、このほかボランティア団体代表の寺田俊彦氏、大学院生の本郷弘氏が出席しました。