防災シンポ 命守るまちづくりに転換を 行政対応、避難所運営の課題を交流/災害拡大する「開発」に警鐘
防災シンポジウム「災害からいのちとくらしを守るために―自己責任を越えて―」(同実行委員会主催)が11月24日、京都市中京区の登録会館ホールで行われ、約100人が参加。市教組や市職労の組合員らが指定避難所となっている学校体育館や区役所の実情、課題などについて意見を述べ、交流しました。
主催者の一人で元府職員の安井昭夫氏が、自然災害の被害規模が拡大する中で、避難指示のあり方や避難所の運営などに関わる法律や行政対応の見直しが求められていると問題提起。京都市内の各行政区ごとに、この問題を考える集まりを開くことを呼びかけました。
「いのちを守る防災のあり方を考える―人・自然・共生」と題して、環境問題に取り組んでいる中島晃弁護士と恵光寺(左京区)の岸野亮淳住職が対談。中島氏は近年の風水害は、経済成長を追い求め、自然との共生をないがしろにして開発を進めてきた社会のありようと人間のおごりに対する警鐘だと指摘。岸野氏は、命も空間もあらゆるものはつながっているという仏教の教えを示して、自分の時代だけがよければいいという生き方でなく、次の世代のために何をすべきかを考える時だと述べました。
シンポでは、岡田知弘・京都橘大学教授が災害の歴史をふり返り、阪神・淡路大震災を機に「大災害の時代」が到来したと強調。災害時の対応の課題について、国に防災省庁がなく、自治体合併で職員が減り、避難所運営も世界から立ち遅れているとして、「自治体と地元業者、住民が協力し、防災を意識したまちづくりに転換すべき時に来ている」と力を込めました。
このほか、「植柳小学校跡地問題を考える会」の大屋峻氏、「避難所・避難生活学会」の水谷嘉浩理事、京都市教組の西明和彦書記長、京都市職労の永戸有子委員長、元市職員の西田隆二氏が、避難所の現状や課題、職員が減らされている区役所の実情、津波対策の先進例などについて報告し、参加者と交流しました。