北陸新幹線シンポ
シンポで講演する樽井直樹弁護士(11月20日、京都市上京区)

 自治体要求連絡会は11月20日、京都市上京区の社会福祉会館で、北陸新幹線延伸問題について考えるシンポジウムを開催しました。専門家が講演し、総工費2兆1000億円(試算)をかけて府内を縦断する同計画の環境への影響や地元自治体の財政負担などについて考え合いました。

 ストップリニア訴訟弁護団の樽井直樹弁護士が、リニア中央新幹線建設工事で起こっている問題を示しながら、

 延伸工事の影響について解説。リニア建設では、環境影響評価(環境アセスメント)が、「建設ありき」のもとで、地下水や河川への水量変化の調査などがずさんなやり方で進められたことを批判し、「北陸新幹線でも環境アセスのあり方が問われる。ずさんなやり方で、進めることは許されない」と指摘しました。

大深度地下工事「地権者了解不要」「地下深いから被害起きない前提ない」

 京都市内の市街地などで、地下40㍍以深の大深度地下を通ることが検討されていることに触れ、「大深度地下法では、地権者の了解も必要ない。住宅の真下を通過しても本人には知らされない」と指摘。大深度地下で工事が進む東京外環道路建設では、水泡が湧き出る被害が起こっているとし、「地下深いから地上に被害が起きないという前提は成り立たない」と指摘しました。

 交通問題に詳しい近藤宏一・立命館大学教授は、建設費が膨らみ続ける福井県の事例などを示して、巨額な財政負担や並行在来線問題、環境への影響などの懸念を指摘。「京都にとって、いいことはほとんどない。大阪への延伸が必要という人とも、『現行ルート案反対』で一致していくことが重要」と述べました。

 日本共産党の光永敦彦府議と加藤あい京都市議が議会論戦や各地での調査結果を報告。京都市長選に立候補を表明している福山和人弁護士が参加し、費用負担や環境への影響などに対する懸念を述べ、「いったん立ち止まって考えるべき」と発言しました。