子どもネットシンポ
シンポで発言する大学院生らと住友剛氏(右端)

 「子どもの今と未来を考えるネットワーク」(子どもネット)は、京都市の「はぐくみ憲章」と同推進条例を、憲法や「子どもの権利条約」の理念に基づく「子どもの権利条例」にバージョンアップさせようと、5回目となるシンポジウムを11月15日、中京区のこどもみらい館で開き、保育や教育関係者ら60人が参加。同ネット呼びかけ人の住友剛・精華大学教授が同条例案を提案し、意見を出し合いました。

 住友氏は、子どもの権利条約が国連総会で採択されて30年、日本政府が批准して25年になるものの、政府は国連から子どもへの虐待や貧困化への対応を求める「勧告」が出されても改善せず、子どもの問題がより深刻化しているとして、「ひとりの市民としての子ども」という発想で、これまでのシンポや他都市の例も参考にしながら、条例案を考えてきた経過を報告。▽子どもの権利保障を実現する方策・責務▽子どもの権利を担当する行政機関▽子どもの権利の侵害からの救済▽子どもの権利保障の検証など、全6章からなる概要を説明しました。

 保育士、小学校教諭、大学院生が子どもや親の実状、現場の労働実態などを発言。「質の高い保育をしたいが人手が足りない」「門川市政になって以降、少人数学級(35人)が小学1、2年から進展がなく、3年になって矛盾が出る。教師の確保も大変。子どものためにも教育予算を増やしてほしい」「学生や若い人が条例案を考える機会が必要」などと述べました。

 会場からは条例案への賛同とともに、中学校給食の実現を求める署名運動の呼びかけや「子どもの居場所づくりを権利として保障を」「勉強漬けの子ども時代を過ごし、親になってものびのび子育てできない。学歴社会の見直しが必要」などの意見も出されました。

 同ネット共同代表の本田久美子さんが、4回のシンポ、十数回の議論を経て条例案が提案された経過に触れ「今日の議論を踏まえ、条例案のパンフを作ります。そしてさらに広く市民に意見を募り、条例制定に向け進めていきたい」と協力を呼びかけました。