安田不動産が示した跡地にホテルを建設し、体育館を地下に移設する計画

 京都市が進めている、下京区の元植柳小跡地を活用した民間事業者によるホテル建設とそれに伴い災害時の避難所となっている同校体育館を近くの児童公園地下に移設する計画で、計画に反対する地元住民が6日、計画は不適切であり、契約候補事業者の資格を市が取り消すよう求める陳情書を市議会に提出しました。

 ホテル計画は、安田不動産(東京都)が市のプロポーザルに基づき、▽同校跡地全面にタイの高級ホテル「デシュタニ」を誘致▽跡地南側の植松児童公園地下に体育館を移設―する案を提示。市は同社を契約候補事業者に選定し、7月に基本協定書を同社と締結しています。

 陳情書を提出したのは「元植柳小学校の跡地利用を考える会」の大屋峻さんです。

 陳情書では、完全埋設の地下体育館を自然災害の際の避難所として指定した事例は、安全上などの問題から、「国内に存在しない」と指摘。選定が不適切な理由として、同校跡地を含む地下体育館予定地一帯は、市の洪水マップで0・5~3㍍の浸水危険地域となっていることを挙げ、この地域での「地下体育館は避難所となり得ない」と強調しています。

 また、同地下体育館は地下3階で、非常用トイレなどは地上に設置されることから、トイレを利用する際の移動の負担や湿気・換気などの衛生面からも、「地下体育館へ収容される避難者の身体的、精神的苦痛は計り知れない」と批判しています。

 この他、地下体育館の維持管理コストは、地上体育館と比べて相当かかることから、仮に事業者である安田不動産が撤退した場合、「地下体育館の維持管理は市の責任となり、不良資産となる可能性」も指摘しています。

 「会」ではホームページ(http://syokuryu.lsv.jp/)を立ち上げ、市の計画を阻止するための賛同を呼びかけています。