完成したTHEATRE E9 KYOTO(京都市南区)

 相次ぐ京都での小劇場閉鎖を憂う元「アトリエ劇研」ディレクターのあごうさとしさんや狂言師の茂山あきらさんらが、「京都に100年続く小劇場!」と、京都市南区東九条で建設を目指していた演劇拠点「THEATRE E9 KYOTO」(略称=E9)がこのほど完成しました。6月22、23の両日、同劇場で、開館記念式典が開かれました。

 E9は2017年8月に閉鎖した「アトリエ劇研」と同様、黒い箱型のブラックボックスと呼ばれる劇場形式で、若手劇団員など未来を担うアーティストも低料金で、実験的な創作を出来る場を目指してつくられました。客席は約100席。

 23日の記念式典では、初代館長に就任した茂山あきらさんや茂山一門が、新築や改築の際に上演される狂言「三本柱」を披露。

 E9のあごう芸術監督、茂山館長、やなぎみわ副館長、蔭山陽太支配人、關(せき)秀哉プロダクションマネージャー、浜村修司テクニカルディレクターが、御厨貴(みくりや・たかし)・東京大学名誉教授の司会で座談会。「多くの人の支援でこの日を迎えられた」「夢のよう」「自由な作品がつくれる場所に」「地域に受け入れられる劇場に」などと感慨や抱負を語りました。

 地元山王学区自治連合会の藤岡正男会長が祝辞を述べ、東九条地域で在日韓国・朝鮮人と日本人がともに民族文化を継承、創造しようと結成されたグループ「ハンマダン」が演奏を披露。会場から大きな拍手がわきました。

 7月から来年3月までのオープニングプログラム約30公演に出演するアーティストがスピーチ。あごう芸術監督が、事業・会計報告を行い、さらなる財政支援を呼びかけました。

座談会に参加する(左から)御厨、あごう、茂山、やなぎ、蔭山、關、浜村の各氏(6月23日)