京都市美術館の改修工事にあたり掘削工事を進める中、本館地下が床上浸水した際の写真。市が情報開示したもの

 京都市美術館(左京区岡崎)改修工事で、市のずさんな調査のために湧水対策などの追加施工が生じたことを巡り、市が湧水対策が必要になった理由として説明していた「地下掘削工事」による「本館地下部での床上浸水」の状況について、市が開示した写真で初めて詳細が判明しました。浸水は地下一面、床上10㌢ほどに達する深刻な事態となっていたことが分かりました。

 開示された写真は1枚で、本紙の情報公開請求によるもの。市は今年1月30日の市議会文化環境委員会への提出資料で、2017年度の掘削工事で「床上浸水」したことを明らかにし、「想定以上に湧水が生じ得ることが判明したため」、追加の湧水工事が必要になると主張してきました。ところが、「床上浸水」した詳細な状況は明らかにされず、今回の写真で初めて判明しました。

 写真には、老朽化した壁が水に浸り、水が床上5~10㌢程にまで達している状況が写しだされ、壁や床の損傷だけでなく、建物内部への浸水も懸念される事態となっていました。

 本館の改修工事の目的の一つは、市が重要文化財の指定を目指す貴重な建物の保全と老朽化対策。写真を見るなら、何のための工事なのかと疑いたくなる現状となっていました。

 追加施工に当たっては、今年の市議会2月定例会に約9・3億円を増額する工事請負契約議案が提案され、日本共産党以外の賛成多数で可決。共産党は、追加工事の内容そのものの検討と追加施工に至る検証が不十分として、反対しました。