目前に迫った7月の参院選で、日本共産党の躍進・勝利へ向け、京都選挙区候補の倉林明子参院議員にインタビューしました。市民と野党の共闘を進め、安倍政権打倒を実現させる決意と、6年間を振り返っての国会論戦・実績について聞きました。

首相の側近が増税延期示唆

─参院選勝利への決意と、争点について教えて下さい。

 安倍政権打倒へ向け、改選数2の京都選挙区で必ず勝ち抜く決意です。消費税増税ストップ、破壊され続けている社会保障制度の再生、憲法改悪阻止、原発再稼働ストップなどを掲げ、全力を尽くしたいと思います。

 消費税増税をめぐっては、首相の側近とされる萩生田光一幹事長代行が「消費増税延期もありうる」と4月のネット番組で発言しました。統一地方選でも大きな争点となった増税ノーの論戦、世論と運動が政治を動かしています。

 国会論戦で、私は何度も消費税増税に苦しむ庶民や事業者の実態を取り上げ、首相と対峙してきました。消費税の滞納・差し押さえに苦しむ業者を助ける納税の猶予制度を政府が周知していなかった問題について、麻生太郎財務相に迫り「すべての窓口で周知されていないのはこちらの落ち度だ。きちんと対応させていただく」と答弁(16年3月参院財政金融委員会)させ、その翌日から制度を説明するチラシが全国の税務署に置かれました。適用件数がこれまでに10万件を超え、当事者から喜ばれています。

 景気が落ち込む中、内閣官房参与を務めた藤井聡・京都大学大学院教授はじめ、識者からも増税反対の声が広がっています。増税ストップへ全力を上げます。

 ―社会保障制度をめぐり、所属する厚生労働委員会での論戦の特徴を聞かせて下さい。

 年金が毎年のように減らされ、国保料(税)・介護保険料負担は大きくのしかかり、社会保障制度そのものが崩壊の危機にあります。

 高すぎる国保料問題では、昨年2月の予算委員会で、京都市の年収400万円世帯(30代子ども2人の4人世帯モデル)で、年40万円近く保険料がかかり、中小企業の労働者が加入する「協会けんぽ」と比べても2倍高い実態を示しました。国保証の取り上げ、差し押さえにより死亡事例まで生まれている実態を告発し、安倍首相も国保について「構造的な問題がある」と認めざるを得ませんでした。

 公費1兆円を投入し、子どもなど家族の人数が増えるほど保険料が高くなる、国保の均等割を廃止することが必要です。同様のことを求めてきた全国知事会はじめ、幅広い共同をつくっていきたいと思います。

 年金も毎年のようにカットされ、高齢者が生活できないために65歳を超えても働く人が大幅に増えています。私立高校の警備員をしていた68歳の男性が、夜勤の連続などにより、勤務中に過労死した問題を国会で取り上げました。高齢者が過労死するほど働いている。その背景には、年金が低すぎて生活できない状況があります。最低保障年金を創設し、抜本的に改善しなければなりません。

「役立つ」論戦で年金申告を改善

 年金申告問題でも、老齢年金受給者が、扶養親族等申告書を提出しなかった場合でも所得税率5%が適用されるように改善させたり、マイナンバーを記入しなくても受け付けるようにさせるなど、国会論戦で制度を改善させています。市民の生活に寄り添い、「暮らしの役に立つ」議員として奮闘していきたいと思います。

 ―社会保障拡充や、北陸新幹線延伸などの大型開発など、税金の使い方も問われています。

 社会保障の財源問題では、消費税増税ではなく、大企業や大資産家への応分の負担を求めるなど、「消費税に頼らない別の道」の展望を広げていきたいと思います。

「新幹線2兆円」対「国保1兆円」

 京都選挙区で議席を争う自民党・西田昌司参院議員は、北陸新幹線延伸の敦賀―大阪ルートを主導してきた人物で、延伸について「たかだか2兆円」と述べて推進しています。私は、その半分の規模の「公費1兆円を投入して、国保料引き下げ」を訴えています。税金の使い方の点でも、「自共対決」がハッキリしてきました。

 統一地方選では、私たちの論戦が推進側の陣営を追い詰めました。西田議員も、「共産党は北陸新幹線よりも暮らしだと言っている。新幹線も暮らしも大事だ」と述べたり、西脇知事も京都市内が難工事になることについて、「与党のプロジェクトチームで決まったことで、不可能というならその時に議論があるはず」(4月18日付『京都』)と述べています。莫大な税金を使い、環境を壊す延伸計画の中止を求めていきます。

 原発再稼働をめぐっては、原子力規制委員会は4月に、新規制基準で設置が義務づけられている原発のテロ対策施設の工事が期限までに完成しなかった場合、運転中の原発は停止を求めること、期限の延長は行わないことを確認しました。これも、原発反対の世論と運動の力で規制委員会を動かしています。再稼働ストップ・原発ゼロへ野党共闘を進め、実現へ力を尽くします。

市民と野党の共闘貫く

 ―市民と野党の共闘が広がり、政治を変える展望が開けてきました。

 私が当選した6年前は「野党共闘」という言葉すらありませんでした。それが、原発や秘密保護法、安保法制反対の市民運動が広がる中で「野党は共闘」と市民の中から声が上がり、16年参院選では1人区で候補者の一本化が実現しました。

 そこから国会内外で共闘が広がり、さきほどの消費税増税反対、社会保障制度の改善、憲法改悪阻止、原発ゼロなどの政策でも、野党の合同ヒアリングや「森友・加計」問題の論戦でも、共同が広がっています。

 さらに市民と野党の共闘を貫き、安倍政権を倒した後の新しい政治の展望を示しながら、京都選挙区を勝ち抜きたいと思います。

 くらばやし・あきこ 1960年福島県西会津生まれ。看護師として11年働き、京都府議1期、京都市議5期。党京都市会議員団幹事長などを歴任。13年7月参議院京都選挙区で初当選。党中央委員。現在、厚生労働委員会、行政監視委員会に所属。ホームページ