JMITU五大エンボディ分会長の石田尾さん(前)と、京滋地本のメンバー

 「突然、本社工場を閉鎖し、全員解雇。こんなことは許されない」―医療関連機器メーカーの社員らが給与制度改悪に反対して労働組合を結成した後、不当解雇され、撤回を求めて裁判でたたかっています。組合員らは「労働組合への不当な攻撃は許されません。裁判に勝ち、会社の雇用責任を認めさせたい」と訴えています。

 従業員の不当解雇を行ったのは、薬品検査機器や医療機器などを製造・販売している「五大エンボディ株式会社」。閉鎖時は京都市南区に本社があり、従業員は関連会社も合わせて21人いました。

 同社は、2017年4月に社長の独断で基本給を大幅に切り下げ、成果給与制度を導入。従業員らは一方的な変更に抗議しましたが受け入れられず、京都総評の労働相談センターを通じて、「JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)京滋地本」に加入し、分会を結成。団体交渉を申し入れても社長が欠席したり、公然と組合に入らないように社員に呼びかけるなど不誠実な対応が続きました。そして、京都工場を閉鎖し、全員解雇する計画を突然、打ち出します。

 組合側の協議にまともに応じないまま17年11月末に工場閉鎖を強行。「本日、業務を終了し、18時までに全員退去すること。指示に従わない場合、警察を呼ぶこととなります」と張り紙を出し、工場を閉鎖。働いていた12人全員を解雇しました。

 会社は長野県駒ヶ根市の研究開発センターに本社を移転するとし、南区の本社工場は売却しました。

 解雇された石田尾恭吾分会長(53)は、「社長は、組合員を敵視・攻撃し、京都の社員全員を突然解雇しました。実際に会社を支えていたのは京都本社工場で、長野県の開発センターは赤字運営。こんなひどいやり方は許されません。労組結成を敵視する不当労働行為です」と怒ります。

 組合員6人が原告となり、17年12月に解雇無効と地位確認を求めて京都地裁に提訴しました。次回は、7月22日に原告の証人尋問が行われる予定です。

 石田尾さんは、機械設計士として長年、同社で働いてきました。現在、街頭や集会などで、会社側の不当労働行為を告発し、裁判への支援を呼びかけています。

 「私たちの解雇争議について、広く知ってほしい。多くの人が解雇、パワハラ、長時間労働等に悩んでいます。不当解雇や不当労働行為を許さないためにも、裁判に勝利したい」