消費税10%への増税のうえに国民健康保険料(税)の大幅値上げ計画――統一地方選では、安倍自公政権の言いなりに国保料(税)の連続・大幅値上げに突き進むのか、圧力をはねのけて住民生活を守るのかが、鋭く問われています。京都では、国保に入れず無保険だったため、受診が遅れ、死亡した事例が生まれています。

国保入れず無保険 末期がんで病院に/担当したSW「手遅れ生む高すぎる国保料」

 全日本民主医療機関連合会はこのほど、経済的な理由から受診ができず、手遅れになり死亡に至ったケースが、2018年には26都道府県で77事例あったことを発表しました。このうち、1件が京都市の事例です。

 亡くなったのは古紙回収業者で出来高払いの個人事業主として働いていた男性(67)。京都民医連太子道診療所(中京区)を受診したのは昨年5月21日。対応した職員によると、古紙回収の車で乗り付けたものの、黄疸(おうだん)が出ており、一歩進むだけでも呼吸困難に陥り、「ほうほうの体だった」と言います。その日のうちに京都民医連中央病院に入院、多臓器の末期がんでステージ4と診断されました。

 男性は本来、国保に加入すべき職種でしたが、10年以上無保険状態でした。半年前から呼吸困難となり、3カ月前からは食事が取れなくなるなど、体調悪化は自覚していたものの、無保険で、医療費が払えないため、ぎりぎりまで我慢していました。以前に交通事故で受診した、京都民医連のかみの診療所(西京区)で手渡された太子道診療所のパンフレットを大事に持っていたと言います。

 5月中に病院ソーシャルワーカーの支援で国保に加入し、生活保護を申請。治療は痛みを和らげる緩和ケアのみで、7月1日に亡くなりました。

 妻とは15年前に離婚し、2人の子どもとも音信不通でした。大阪で住み込みで働いていた会社が倒産し、10年前に寮のある京都の古紙回収業者に就職。寮費や車のリース代、携帯電話料金等が天引きされ、借り入れしないと毎日の食費もない状態でした。昨年2月、男性は福祉事務所へ相談に行き、生活保護を勧められましたが、断っていました。

 男性を支援したソーシャルワーカーは「自覚症状があったのに病院にかかれなかった。孤立し、困難が起きても周囲に助けを求められない人がいます。手遅れとなる事例がこれ以上出ないよう、まず高すぎる国保を引き下げて欲しい」と話しています。