講演する近藤夏樹・自治労連公営企業評議会事務局長(17日、京都市)

 水道の広域化・民営化について考える学習会(主催・自治体要求連絡会)が2月17日、京都市南区の京都テルサで開かれ、約40人が参加しました。自治労連公営企業評議会の近藤夏樹事務局長が、「民営化」の問題点や全国での状況などについて講演しました。

 近藤氏は、安倍政権が水道法改悪の強行で導入を狙っている「民営化」(コンセッション)について、「リスクは住民、自治体に背負わせたうえで、企業がもうけるしくみ」だと強調しました。

 その上で、法改悪前の17年、厚労省がコンセッション導入の働きかけを行っているとして示した「トップセールスリスト」の中に京都府が含まれていることを紹介。リスト選定要件に▽人口20万人以上▽2012年度で黒字経営▽40年度までの人口減少率が20%以下―が挙げられていることを示し、「『民営化』した場合にもうかるところとして、ターゲットにされている」と述べました。

 現在、国は民営化より広域化を先行する方針であることを指摘。広域化の目的は民間参入を促すための事業規模の拡大などにあるとともに、広域化で多くの市町村が関わる事業体の運営は、意思決定に各地域住民の声が届きにくくなると強調。大阪市や奈良市では地方議会が拒否し、過去に「民営化」が阻止されたことをあげ、「広域化してしまうと、民営化に移行するハードルが下げられる」と警鐘を鳴らしました。

 国が「民営化」推進の旗を振る一方で、導入を狙っていた浜松市では導入の検討延期を決めました。「住民の反対もあり、全国で実施を一つも許していない。各地でこの問題での住民の関心も非常に高い」と述べ、水道事業のあり方を住民とともに考えていくことを呼びかけました。

 民間委託など府内各地の水道事業について報告が行われました。府内で初めて上下水道事業を民間1社に委託する、包括的民間委託の実施を決めた福知山市の職員は、「委託を受けた企業が、豪雪時の検針など地域特有の状況に応じて業務を行えるのか不安」と懸念を述べました。

 日本共産党の前窪義由紀府議団長、平井良人京都市議が、府・京都市での民間委託の拡大状況や議会での「民営化」をめぐる論戦について紹介しました。

 主催者を代表し府職労連の森吉治委員長があいさつし、「各市町村での動きを注視し、運動を進めていきたい」と述べました。