子ども文化会館廃止、京都市美術館再整備、京都学・歴彩館指定管理…文化関係者が反対・警鐘

 安倍政権は地方創生政策で自治体に「稼ぐ力」を要求し、芸術文化を経済成長の「資源」として位置づけています。府・京都市が次々とこれに追随する文化施策を計画・強行しているなか、「京都の芸術文化団体、市民が共同して反対の声をあげていこう」と2月11日、京都市内で緊急シンポジウムが開かれました。日本共産党京都府委員会、同党府議団・京都市議団が主催。文化関係者、市民ら約120人が参加しました。

 倉林明子参院議員が「生存権を定める憲法25条で、文化を享受する権利を保障する責任が政府にあると規定している。国が文化に口出ししたり、『稼ぐ』ものとして使ってはならない」とあいさつ。

 日本共産党の山内よし子府議は昨年施行の「京都府文化力による未来づくり条例」が▽文化芸術の理念が示されていない▽目的が文化・芸術を利用して経済を活性化させようとしている▽府民の意見も十分聞かず拙速に制定しようとしている―として府議会で反対したことや、条例にもとづき検討中の「基本計画」の「骨子」でも露骨に文化を経済発展の道具とした思想が示されており、審議委員の中からも、商業ベースに乗らない文化も大切すべき、などの意見が出されたことを紹介しました。

 くらた共子京都市議が廃止が計画されている「京都こども文化会館」(京都市上京区)について、市民のアンケートで98・8%が「利用したい」と回答しており、利用者などの意見を集約するとともに廃止される場合の問題点を調査し、撤回に向けた論戦を進める決意をのべました。井坂博文市議は、京都市美術館の再整備をめぐり、京都市がネーミングライツで事業費にあてる方式を進め、野外彫刻モニュメント(富樫実氏・作)の切断・撤去強行、基本設計で必要な検査をないがしろにしてきた問題などを厳しく批判しました。

 文化関係者が文化芸術基本法と京都の未来について報告しました。

 造形作家の真鍋宗平氏は、京都の文化施設、文化壊しが進行している背景として、議員立法「文化芸術基本法」で文化芸術固有の価値や創造、享受する権利をうたい、国や自治体に環境整備のための施策策定を求めているにも関わらず、府の条例で文化が「経済的な活力の源泉となる」ことを求めるなど、両者間に「ねじれ」が生じていることが原因と、指摘。非常に少ない文化予算が、経済振興政策などに侵食される事態が生じていると、批判しました。

 中村さとし・京都児童青少年劇団協議会事務局次長、木戸史・「こども文化会館を守り☆良くする会。」代表、貴志カスケ・京都アートカウシル代表、森吉治・府職労連委員長が、文芸会館、こども文化会館、京都市美術館、京都学・歴彩館、府立総合資料館跡地などの問題で報告。森委員長は府の京都学・歴彩館の指定管理者制度導入(来春に向けて検討中)の動きについて、「府直営でこそ府民サービスが充実でき、歴史的価値が継承・発展できることを広く府民、全国のみなさんに訴えていくことが重要」とのべました。

 会場からは、こども文化会館の存続、子どもが文化に親しめる環境の整備、文芸会館の優れた機能の継承、アマチュア団体の稽古場など活動環境の整備などの要望、京都市立芸術大学移転に関わってキャンパスが狭くなり学生の芸術創作・創造に支障が生じるのでは、との懸念などが出されました。「報告などから、文化はお上が与えるもので、下々の声はとるに足らないと聞こえてくる。市民が自らの意見を言わなければいけない」との発言には大きな拍手が起こりました。